第8話、胸に残ったのは康二郎(新田真剣佑)が父・陸郎(池田成志)に正面から意見をぶつけた場面だった。合理的で冷静な外科医として描かれてきた康二郎が、総合診療科の意味を理解し、優しさを含めた医療の本質を父に語る姿は、これまでの変化と成長の集大成に思えた。徳重(松本潤)や滝野(小芝風花)との関わりが、彼を確実に変えていった証のようだった。
総合診療科が生まれた理由
物語の軸は、新設された「総合診療科」。臓器や専門に縛られず、患者一人ひとりの暮らしや心にまで向き合う医療。徳重(松本潤)が掲げる理念は、赤池(田中泯)が生涯を懸けて広めようとしたものだった。赤池が目指したのは、専門と専門の間にこぼれ落ちる人々を救うこと。その理想が、現実の制度や病院経営とどう折り合うのか――最終回はその核心を突いてきた。
父と息子、院長選での激突
院長選の最終弁論で、外科部長の陸郎(池田成志)は「理想だけでは医療は成り立たない」と訴え、小児科縮小と総合診療科廃止を打ち出す。合理性を重んじる父の主張は、一見正論に聞こえる。だがそこで手を挙げたのが康二郎(新田真剣佑)。父に意見する姿は堂々としていて、息子ではなくひとりの医師としての誇りを示していた。
「優しさをなくしてしまったら」
康二郎の言葉は力強かった。「制度は多くを守るためにある。でもこぼれ落ちた人をいなかったことにできるか」。そして「優しさだけで医療は成り立たない。それは事実です。ですが、優しさをなくしてしまったら、僕たちは医者でいられない」と語る。合理と情の間で揺れる中、このセリフが響いた瞬間、彼が徳重や滝野と過ごした時間がすべて血肉になったのだと実感させられた。
和解と新しい一歩
院長選は陸郎が辞退し、北野(生瀬勝久)が院長を続投することに。若き日に「陸郎くん」「栄ちゃん」と呼び合った2人が、再び並んで病院を支え合う姿はじんときた。終盤、2人が厚生労働省に「総合診療科支援プログラム実現を目指す署名」を提出するシーンは、医療の未来を切り拓く希望として描かれていた。理想と現実をぶつけ合いながらも、答えを探す姿に医師の矜持を感じた。
まとめ
最終回は、総合診療科の存在意義を浮き彫りにしながら、康二郎が父に「医者であるための優しさ」を語る物語として完結した。松本潤さん演じる徳重が種をまき、小芝風花さん、田中泯さん、生瀬勝久さんらが支えた人間ドラマの中で、新田真剣佑さん演じる康二郎の成長がひときわ輝いた。最後に響いたのは「優しさをなくしてしまったら」という言葉。その余韻が、ドラマの意味をいつまでも心に残してくれる。
(ゆめのん)
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