『25時、赤坂で Season2』第5話、羽山の“封じた想い”が静かに胸を打つ(感想)(ネタバレがあります)

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第5話は、セリフが少ないほどに胸が痛かった。
羽山麻水(駒木根葵汰さん)が選んだのは「やりたい仕事」ではなく「やるべき仕事」。
理性で選んだはずなのに、心は追いついていなかった。
本棚に戻した『雨と懺悔』の原作小説――それはまるで、自分の想いに蓋をするような仕草で。
静かなラストシーンに、息をするのも忘れるほど見入ってしまった。

“役者としての夢”と“人としての責任”の狭間で揺れる羽山

羽山(駒木根葵汰さん)が最終審査を前に辞退を決めた瞬間、ただの仕事選びではない葛藤が見えた。
映画の主演という「キャリアの正解」を選んだ裏で、心は舞台に残っている。
“やるべきこと”を優先する彼のプロ意識は立派なのに、その瞳の奥にある空虚さがあまりにもリアルだった。
本当に叶えたかった夢を、自分の手で押し殺すような痛み。
俳優という職業の輝きの裏に、こんなにも苦い現実があるのかと胸が締めつけられた。

白崎(新原泰佑さん)の「受かった!」がまぶしくて、切ない

「麻水さん、俺、受かった!」と弾む声。
その裏で、羽山の笑顔が少しだけ震えていた。
「おめでとう、白崎くん」――完璧な笑顔で言うけれど、その笑顔には“祝福”と“悔しさ”が同居している。
恋人として嬉しい、でも役者としては悔しい。
その複雑な感情を、駒木根葵汰さんはたった数秒の沈黙で表現していた。
電話を切った後の“静寂”が、このドラマの真骨頂だと思う。

“本棚に戻された小説”が象徴するもの

『雨と懺悔』の原作小説を手に取り、見つめて、そして本棚に戻す。
それはまるで、自分の心を箱にしまうような仕草だった。
「もう見ない」と言い聞かせるようで、「本当は離れたくない」と叫んでいるようでもある。
SNSでも「自分の心に包装紙をかけた」「意思を封じた」と言われていたけど、本当にその通り。
羽山が閉じ込めたのは、“役者としての衝動”であり、“白崎と並びたかった夢”だった。
静かな演出なのに、どんな泣きシーンよりも痛かった。

白崎と羽山、交差する成長のベクトル

白崎(新原泰佑さん)は今、上昇気流の真ん中にいる。
夢が現実になっていく一方で、羽山は自分の夢を抑え込む。
同じ舞台に立つはずだった2人が、違う場所を歩き出す。
だけど、お互いの中に“支えたい”という気持ちは残っている。
その微妙な距離感が、このドラマの一番美しい部分。
「お祝いしなきゃだね」と言う羽山の優しさが、まるで最後の“抱擁”みたいだった。

沈黙が語るドラマ、“25時”の余韻

この作品の魅力は、言葉よりも“空気”で感情を伝えるところ。
羽山がキッチンで手をつく姿も、無言で本棚を見つめる姿も、何も言わないのに全部が伝わる。
静かな映像の中で流れる時間こそが、彼の痛みの深さを示していた。
まるで画面越しに心の温度が伝わってくるようで、涙が止まらなかった。

まとめ

第5話は、“選ぶこと”の残酷さを描いたエピソードだった。
夢を諦めることも、愛する人を祝うことも、全部正しいのに苦しい。
駒木根葵汰さんの抑えた芝居、新原泰佑さんのまっすぐな笑顔――2人の対比が完璧だった。
羽山が本棚に戻した本は、きっともう一度手に取る日が来る。
その時、彼はどんな表情でページを開くのか。
“封じた想い”が再び解ける瞬間を、静かに待ちたい。
(ほのりん)

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