べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 第36回、恋川春町の最期と定信の慟哭が胸を突く(感想)(ネタバレがあります)

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第36回「鸚鵡のけりは鴨」、春町(岡山天音さん)が自ら命を絶つ流れはあまりに衝撃だった。
蔦重(横浜流星さん)の言葉を通して「戯ければ腹を切らねばならぬ世とは誰を幸せにするのか」と突きつけられる場面。
そして、定信(井上祐貴さん)が布団に顔を埋めて泣き崩れる姿は、推しを失った人の心そのもの。
武士として、戯作者として“分”を貫いた春町。
それを見届ける蔦重の静かな眼差しも、痛いくらい切なかった。

恋川春町(岡山天音さん)の死の意味

黄表紙が絶版となり、定信(井上祐貴さん)に呼び出された春町(岡山天音さん)。
病を理由に応じられず、それでも責任が及ぶことを恐れて選んだのは切腹という道。
「豆腐の角に頭をぶつけて」という死にざまは、武士と戯作者という二面を同時に生きた春町らしい皮肉。
真面目さと戯けの両方を最後まで抱えた生き様。
その二重性が、この時代における矛盾をも象徴していたように感じる。
笑いに昇華した最期だからこそ、胸が裂けるほど悲しい。

蔦重(横浜流星さん)の言葉が残したもの

信義(林家正蔵さん)を通じて定信に伝えられた蔦重(横浜流星さん)の言葉。
「一人の男が武士として、戯作者として分を全うした」と。
その静かな主張は、権力の前に声を上げられない人々の代弁にも聞こえた。
学もない本屋風情だからこそ、真実を鋭く突ける。
誰を幸せにするための規制なのかと問う言葉が、画面越しにも重く響いた。
蔦重のまっすぐさが、この物語の芯になっているのを改めて感じた。

松平定信(井上祐貴さん)の慟哭

布団に突っ伏して泣く定信(井上祐貴さん)のシーンは、声にならない痛みが伝わった。
推しを奪ったのは自分の政策。
望んだわけではなくとも、結果として命を奪ってしまった事実がのしかかる。
その複雑さと自責の念に揺れる姿は、人間らしい弱さそのものだった。
厳格で冷徹に見えていた定信が、実は黄表紙を愛し、春町を推していた。
そのギャップがより一層の悲劇性を生んでいた。

春町と定信、真面目すぎる二人のすれ違い

春町は“クソ真面目”と言われながら、最後は戯けを貫いた。
定信もまた世を良くしようと真面目に政策を考えていた。
どちらも誠実すぎるがゆえに、悲劇が生まれてしまった。
もし春町が皮肉に込めた「肩の力を抜いては」という思いが届いていたら。
二人はどこかで理解し合えたのかもしれない。
その「もしも」を強く想像させる回だった。

まとめ

第36回は、春町(岡山天音さん)の最期と定信(井上祐貴さん)の涙が深く刻まれた回だった。
蔦重(横浜流星さん)の言葉が鋭く響き、武士と戯作者の分を生きた春町の姿は、痛ましいほど誠実。
定信の人間味が露わになり、ただの権力者としてでなく一人の人間として描かれた。
悲劇の中で浮かび上がる「笑い」と「涙」の交錯が、この作品らしい深みを見せた。
(ゆめのん)

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