第39回、息をのむような緊張感だった。
蔦重(横浜流星さん)と松平定信(井上祐貴さん)が“お白洲”でついに対面する場面、あれはもう時代劇というより心の殴り合い。
誰が正しいとかじゃなく、信念と信念がぶつかる瞬間の迫力に鳥肌。
静かに笑う蔦重の目の奥にある“江戸を生きる民の意地”、見逃せなかった。
蔦重(横浜流星さん)の反骨が光る、お白洲の一幕
出版統制の中、蔦重(横浜流星さん)は諦めずに“教訓読本”という形で好色本を出した。
「規制されるなら、抜け道を探せばいい」──それが彼の生き方。
でもその才知が裏目に出て、牢屋敷へ連行される展開に。
そして“お白洲”での定信(井上祐貴さん)との直接対決。
この緊迫感、時代劇でありながらまるで現代の言論戦を見てるようだった。
横浜流星さんの蔦重、あの堂々とした姿勢と皮肉まじりの口調、完全にハマってた。
「ふんどしの守」と呼ぶくだり、ギリギリの挑発なのに爽快感すらある。
狂歌「白河の清きに魚住みかねて」──言葉の刃が空気を裂く
蔦重が放った狂歌、「白河の清きに魚住みかねて元の濁りの田沼恋しき」。
これ、完全に時代を揺らす一撃だった。
清廉な世を目指す定信(井上祐貴さん)を“白河”に、自由だった田沼意次を“濁り”として対比。
あまりに痛烈で、定信の顔がスッと険しくなる瞬間の空気の変化が怖いくらい。
「ご公儀をたばかった非常に由々しきもの」と言われながらも、蔦重は怯まずに語り続けた。
「越中守様の評判を上げるべく励みたい」って、皮肉100%の台詞なのに、どこか笑えて切ない。
この挑発の中に、江戸庶民の誇りが詰まってた。
“ふんどしの守”vs“江戸の本屋”、信念のぶつかり合い
定信(井上祐貴さん)は理想主義者。
清らかな世を作ろうとする信念に一点の迷いもない。
一方、蔦重(横浜流星さん)は人の欲や弱さも含めて「それが生きること」と信じてる。
だからこそ、定信の理想が息苦しく感じる。
この2人の対話は、まるで光と影。
どちらも正義だけど、どちらも極端。
「女たちを救いたい」と語る蔦重の言葉に、彼の優しさと覚悟が滲んでた。
井上祐貴さんの冷静さの中に見える怒りも見事。
沈黙で圧をかける演技、圧倒的だった。
“身上半減”の裁き、それでも折れない背中
裁きの結果は、蔦重の身上半減。
財産も版木も半分没収されるという過酷な刑。
けれど、牢屋から引き立てられるその背中には、不思議な誇りがあった。
「本屋は、人の心を閉じ込めることはできねぇ」──そんな声が聞こえてきそうな表情。
拷問の描写は痛々しかったけど、負けない姿がかっこよすぎた。
人間の尊厳を守るってこういうことなんだと思った。
蔦重が口を血で染めながらも笑うシーン、涙出た。
視聴者のざわめきと、物語の熱
SNSでは「挑発が過ぎるけど最高」「横浜流星さん、迫力がすごい」「定信の怒りがリアルすぎて震えた」と反響。
確かに、見てるこっちもハラハラした。
蔦重がやり過ぎるほどに、定信の正義も揺らいで見えてくる。
それぞれが“正しい”のに、すれ違う悲しさ。
でもその衝突こそ、この時代を変えたエネルギーだったんだと思う。
息詰まる政治劇の中で、人間らしさが際立ってた。
まとめ
第39回は、蔦重(横浜流星さん)と定信(井上祐貴さん)の“魂の衝突回”。
お白洲での対決は、まるで江戸をかけた思想戦。
痛いほどの緊張感と、蔦重の信念の強さが心に焼きついた。
理想と現実の間で、何を守るかを問われる回だった。
言葉一つで世界を動かす、本屋の誇り。
次回、彼がどう立ち上がるのか、目が離せない。
(ゆめのん)