第1話、始まってすぐに“映像が呼吸してる”って思った。
栗須栄治(妻夫木聡さん)が見つめる景色の奥に、静かな痛みが流れてた。
塚原あゆ子さんの演出、まるで映画。
風が吹くたびに心のざらつきまで洗われていく感じ。
でもその美しさの中に、人間の弱さがちゃんと見えてて、ただのヒューマンじゃ終わらない深さがある。
栗須栄治(妻夫木聡さん)の“迷い”が映像に溶け込む
かつて税理士の父に憧れて、自分もその道を選んだ栗須(妻夫木聡さん)。
だけど、現実はうまくいかず、挫折を抱えたまま立ち止まってる。
第1話では、そんな彼が再び歩き出すきっかけとして、馬主の山王耕造(佐藤浩市さん)と出会う。
最初のシーンから、妻夫木さんの目の奥がずっと曇ってて、それが風景にリンクしてた。
日常の静けさが逆に痛い。
でも、彼の沈黙の中に「もう一度、自分を信じたい」って小さな灯りが見えた瞬間、ぐっときた。
北海道の大地が“もうひとりの登場人物”みたい
「北海道・千歳」のテロップが出た瞬間、空気の密度が変わった。
風、光、馬の足音、すべてが音楽みたいに響いてくる。
耕造(佐藤浩市さん)とともに向かった日高地方の景色は、ただの背景じゃなく物語そのもの。
雪の匂いが届きそうな映像の中で、馬たちが走る姿がまるで希望の象徴みたいだった。
塚原あゆ子監督が「映像体験を全力で」と話していた意味、もう納得。
自然がこんなに“語る”ドラマ、久しぶりに見た。
山王耕造(佐藤浩市さん)という存在の重さ
耕造(佐藤浩市さん)は、ただの馬主じゃない。
言葉の少なさが逆に説得力を持つ人。
栗須(妻夫木聡さん)が迷いながら彼を見上げる構図、まるで師と弟子の始まりみたいでゾクッとした。
「人生は、走るか止まるかのどちらかだ」とでも言いたげな沈黙があった。
佐藤さんのまなざしが、広大な北海道の空と同じくらい深かった。
その一言一言に、長年の重みと優しさが混ざってて泣きそうになった。
塚原あゆ子監督の手にかかると、風景が“感情”になる
SNSでも「映像きれい」「塚原監督ってすぐ分かる」ってコメントが溢れてたけど、それ以上に“心のカメラ”がすごい。
人の表情と風の動きを一緒に切り取る演出が、優しくて鋭い。
セリフが少ないのに、全部伝わる。
静けさの中にちゃんと鼓動がある。
しかも、光の入り方まで計算されてるのに自然。
観てる側も、呼吸の仕方を少し変えたくなる。
第1話の余韻とこれからの期待
物語としてはまだ序章だけど、すでに心をつかまれた。
競馬、家族、再生――テーマは重いのに、映像がそれを優しく包む。
栗須(妻夫木聡さん)が馬たちを見つめる目の奥に、少しずつ光が戻っていくのが分かる。
あの美しい風景の中で、人がどう変わっていくのか。
次回もただのドラマじゃなく“体験”として見たい。
まとめ
第1話は、映像美と人間ドラマの両立が完璧だった。
妻夫木聡さんの繊細な演技、佐藤浩市さんの存在感、そして塚原あゆ子監督の映像の魔法。
日曜の夜にこんな静かな熱をくれる作品、贅沢すぎる。
馬の走る音と人の心臓の鼓動が重なる瞬間、ドラマが“生きてた”。
これはたぶん、今年一番心に残る景色になる。
(みかんてぃ)