第1話、序盤から緊張感がすごかった。
AIによって未来の犯罪者を割り出す「ミハンシステム」。
その危うい正義の中で、井沢範人(沢村一樹さん)が抱える闇がどんどん浮かび上がっていく。
一見穏やかで笑顔なのに、目の奥がまるで深い夜。
そして、彼を止めようとする山内(横山裕さん)との関係が、ただの上司と部下を超えていた。
AIが導く“未来の犯罪”と、正義のグレーゾーン
「未然犯罪捜査対策準備室」──通称“ミハン”。
AIが統計データから犯罪を予測し、事件を防ぐ。
それだけ聞くと完璧なシステムみたいだけど、誰かを“犯罪者予備軍”として扱うリスクは重い。
井沢(沢村一樹さん)はその矛盾の中で、何度も感情を揺さぶられていた。
彼自身、過去に「0号事件」で妻と娘を失っていて、正義がどれほど脆いかを知っている。
だからこそ、AIに頼りながらも人の心を信じたい。
このドラマ、ただの刑事ものじゃなくて“人間の業”そのものを描いてる。
井沢範人(沢村一樹さん)の笑顔の裏に潜む狂気
井沢(沢村一樹さん)は柔らかい物腰なのに、どこか怖い。
犯人に銃を向ける手が震えてないのが逆に怖い。
優しさと狂気の境界線を行き来する感じ、まさにギリギリの人。
普段の飄々とした笑顔があるからこそ、怒りが際立つ。
沢村さんの演技、まるで光と影が共存してるみたいだった。
「人を救いたい」って気持ちと「許せない」って感情の間で揺れるその目。
一瞬の沈黙が、セリフよりも重たかった。
山内(横山裕さん)の“相棒以上”の覚悟
井沢の暴走を止めるため、常に拳銃を携帯している山内(横山裕さん)。
第1話のあのシーン、「あなたを人殺しにはさせない」って叫んだ瞬間、息が詰まった。
涙とか音楽とか一切いらない。
その言葉の強さだけで場面が止まる。
山内はただの部下じゃなくて、井沢の“影”を背負う人。
二人の関係は、信頼でも友情でもなく、“お互いを守るための痛みの共有”みたいだった。
この絆がシリーズを超えて続く理由が、やっと分かった気がする。
香坂(水野美紀さん)の登場でミハンに緊張が走る
新たな責任者・香坂(水野美紀さん)が登場してから、空気が一気に変わった。
理性的で冷静、でも何か隠してそうな目。
彼女が井沢の過去を口にした瞬間、場が一瞬凍る。
香坂と井沢の対立は、ただの上司と部下のぶつかり合いじゃなくて、“正義の形”の衝突。
それぞれが信じる正しさをぶつける構図が最高にスリリングだった。
静かに笑う水野さんの表情が怖いほど魅力的。
シーズンを越えてつながる信頼のリレー
山内(横山裕さん)はこの後、シーズン5でも沢口靖子さん演じる二宮とタッグを組む。
その繋がりが分かって見ると、彼の“覚悟の起点”がこの第1話にあったんだと気づく。
井沢を止めたあの夜から、山内はずっと“誰かの暴走を止める役目”を背負ってる。
「絶対零度」ってタイトル、冷たいようで、実は“熱を抑えるための温度”なのかもしれない。
まとめ
第1話は、AI捜査の最先端を描きながらも、根底にあるのは“人間の心”。
井沢(沢村一樹さん)の過去、山内(横山裕さん)の決意、香坂(水野美紀さん)の理性。
それぞれの正義がぶつかり合って、ただの刑事ドラマを超えていた。
そして塚原あゆ子監督作品のような緊張と美しさが共存する映像も印象的。
井沢が銃を構えたあの瞬間、冷たさじゃなく“生きる衝動”を感じた。
(ゆめのん)