いつか、無重力の宙で 第29回 感想文(ネタバレあります)― 果たせるか「宇宙から地球を見る」約束、新たな試練の幕開け

本ページはプロモーションが含まれています

試験中に発覚したカメラのトラブルと、迫る打ち上げの時間

今回、第29回では、飛鳥(木竜麻生)たちが超小型人工衛星の宇宙空間での作動試験に臨むも、そこに“カメラの不具合”という予期せぬ障害が待ち受けていました。周(片山友希)・晴子(伊藤万理華)は「開発をやり直す余裕はない」と、妥協して“このまま打ち上げよう”と提案します。一方、彗(奥平大兼)は、「もしカメラが正しく作動しなければ、ひかり(森田望智)との“宇宙から地球を見る”という約束が果たせない」と強く反対します。そして、リーダーである飛鳥はその両者の間で決断を迫られます。

良かったこと

時間的プレッシャーと技術的ジレンマの描写

・試験で明らかになった“カメラのトラブル”は、ただの技術的ミス以上の意味を持っていて、“夢を現実に近づけるための最後の壁”として機能していました。
・「もうやり直す時間がない」「だけど完璧ではないまま打ち上げていいのか」という二律背反を、制作側が丁寧に提示していたのが印象的です。
・この種の“技術ミッション/夢追い”系ドラマにおいて、時間的制約とチームの意見対立があることで、物語に現実味や緊張感が増しています。

人物の“信念”と“妥協”の狭間

・彗が「ひかりとの約束」が果たせないことを懸念する姿からは、ただ宇宙を目指すという目標以上に「大切な誰かとの誓い」を重んじる気持ちが伝わってきました。
・飛鳥がリーダーとして決断を迫られる展開は、彼女自身の成長と覚悟を感じさせ、「私はこれでいいのだろうか」という視聴者の問いに重なってきます。
・周・晴子の提案に乗るチームと、彗の反対という構図から「思い出/夢を叶える=完璧を求める」と「現実的な諦めや妥協」という対立が浮かび上がっていて、ドラマとして深みが出ていました。

気になった・もう少し掘ってほしかった点

トラブルの背景と選択肢の明確化

・カメラがなぜトラブルを起こしたのか、その原因や具体的なリスクがもう少し丁寧に説明されていたら、視聴者として飛鳥たちの決断により感情移入できたと思います。
・また、「打ち上げる」「やり直す」という二択で提示されていますが、途中に「妥協しつつ補正を加える」という第三の選択肢がほしかったという感じもありました。

飛鳥の決断の内側にある葛藤の描写

・リーダーとしての飛鳥の決断場面は効果的でしたが、それに至るまでの内面的な葛藤(仕事・仲間・夢・誓い)をもう少し掘ってほしかったです。彼女がこれまで抱えてきた“夢”と“現実”のギャップが、視聴者にももっと伝われば、回想や比喩的な描写が活きたかもしれません。

感想まとめ

第29回は、まさにクライマックスへ向けた転換点とも言える回でした。
– 技術ミッションという“宇宙を目指す現実”の前に立ちはだかるトラブル。
– チームの理想と現実のせめぎ合い。
– そして、夢だけではなく“約束”という個人的な重さを帯びたミッション。
この三者が絡み合っていて、「成功できるのか」「その先に何があるのか」という期待と不安を同時に抱えながら視聴しました。

特に印象的だったのは、「もうやり直せない時間が迫っている」中での選択の重みです。夢を叶えるためには“妥協”を受け入れなければいけないのか、それとも“完璧”を追い求めて立ち止まるのか。そんな問いが胸をよぎる回でした。

今後への期待と考察

これから特に注目したいのは、
– 飛鳥たちがどのような決断を下すのか、そしてその結果がどう出るのか。
– カメラトラブルの後、チームの結束や雰囲気がどう変わるのか。
– ひかりとの約束が実際にどのような形で反映されるのか。
– 残り4回というタイミングで、これまで積み上げてきた夢と現実のギャップが最終局面に向けてどう収束・変化していくのか。

このドラマが描くのは、ただ“宇宙を目指す物語”ではなく、「大人になってからも夢を追い続けること」「仲間との約束」「時間と向き合うこと」だと改めて感じました。第29回は、その核心に近づいたエピソードだったと思います。
(あいちゃん)

「いつか、無重力の宙で」の関連グッズを楽天ブックスで探す
「いつか、無重力の宙で」の関連グッズをAmazonで探す