ふと目覚めた「恋だ」という自分の胸の音
第5話を観てまず印象に残ったのは、主人公・すみれ(久保乃々花)が、柊太朗演じる橘への想いを「ただの憧れ」「ただの好意」ではなく「本物の恋だ」と自覚した瞬間でした。他の男性とは自然に話せるのに、橘だけにはどうしても深く想ってしまう自分に戸惑い、ぎこちない言動が増えるすみれの姿が共感を呼びました。
良かったこと
自覚と揺れ動く心情のリアリティ
すみれが「恋だ」と思い始めたときのしどろもどろな言葉選び、そしてバーでの飲みすぎという状況設定が、恋心を隠そうとするリアルな感情の揺らぎをよく映していました。
家まで送ってくれた橘の優しさに対して「本当に私と関係を持ちたいの?」と挑発的な態度を取ってしまうシーンも、彼女の中で“好きだからこその怖さ”“進みたくても進めない”という複雑な気持ちが混在していて、非常に印象的でした。
仕事/恋愛の境界を揺らす演出
すみれと橘の関係が「飲む/送る」という日常的な場面で描かれ、そこに“誕生日”という特別な日を控えているという設定が効いていました。恋愛として意識し始めた瞬間に、いつもと同じ日常が少しずつ変化していく演出が巧みで、視聴者としても「この先どう動くのか?」という期待が高まりました。
気になった・もう少し描いてほしかったこと
橘の心情をもっと深く提示してほしかった
すみれの視点では“恋に気づいた瞬間”が丁寧に描かれていましたが、橘側の「なぜ彼女を送ったのか」「飲んでしまった彼女をどう思っているのか」がもう少し明確だと、二人の関係性の揺れや距離感がさらに際立ったと思います。
誕生日という要素の活かし方にもうひと工夫欲しい
物語中に“迫る誕生日”が伏線として提示されているのは効果的ですが、誕生日が二人の関係にどう影響を与えるか、その前振りがもう少しあれば、回の中での緊張感がさらに強まったと思いました。
感想まとめ
第5話は、すみれが「恋だ」と気づいた瞬間から、橘との距離が急激に近づくかもと思わせながら、実際には“ぎこちなさ”が生まれてしまう過程を描いた回でした。
恋愛ドラマとしての甘さと、進むことへのためらい、その二つが同時に動く瞬間が視聴者に刺さる作りです。
「本当に私と関係を持ちたいの?」というセリフには、軽やかな挑発の裏に「進んだらどうなるのか怖い」という本音が混ざっており、この微妙な曖昧さが物語にリアルな厚みを与えていました。
このドラマが描きたがっているのは、“恋を自覚すること”ではなく、“恋として自分をどう扱うか”というプロセスだと思います。第5話はそのプロセスが明確に動き始めた回でした。
今後への期待と考察
次回以降、私が特に注目しているのは:
– 誕生日というイベントが、すみれと橘の関係にどう影響を与えるか。
– 橘がすみれに対して持つ本音。好意なのか友情なのか、それとも仕事関係の枠を超えていくのか。
– すみれの“挑発的な態度”が二人の間に何をもたらすのか。進展か、後退か…。
– その他男性キャラとの関係が進むなかで、すみれがこの想いをどう選び、どう行動するか。
恋愛を描くドラマとして、甘いだけでなく迷いや揺らぎも描いているこの作品。
第5話でその揺らぎが一層浮き彫りになったので、次回もとても楽しみです。
(あいちゃん)
 
  
  
  
  
