ひらやすみ 第1回 感想文(ネタバレがあります)― “何もない”29歳と、“何かを抱えて上京した”18歳が紡ぐ、穏やかだけど少し揺れる物語

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何もないようで、何かが始まる予感

生田ヒロト(岡山天音)は、定職も恋人も将来の明確なビジョンもない29歳のフリーター。しかし、人柄の良さゆえか、近所のばーちゃん(根岸季衣)と仲良くなり、そのばーちゃんから突然「平屋」を譲り受けるという驚きの展開。山形から美大進学のために上京してきたいとこ・小林なつみ(森七菜)との同居が始まるその瞬間、「何もない日常」が少しずつ変わる序章として静かな興奮を感じました。

良かったこと

平屋という場所の持つ温度感が伝わる

平屋という1戸建て一軒家、そしてそれが「譲り受けたもの」であるという設定が印象的でした。ヒロトが特別な夢を持っていないからこそ、その場所には“空白”や“可能性”が漂い、なつみが上京するという“変化”を受け止める器にもなっていました。町の隣人関係や小さな日常が感じられ、「ここならなんとかやっていけそう」という安心感がありつつ、どこか先が読めない不安も同居していて良かったです。

キャラクターのバランスが絶妙

ヒロトの「お気楽だけど根っこは優しい」雰囲気となつみの「18歳・上京・美大志望」というフレッシュで少し緊張を抱えた存在。二人の関係が“先輩・後輩”でも“師匠・弟子”でもない“いとこ”という距離感なのが良くて、互いに影響を及ぼし合う可能性を感じさせました。さらに背景にばーちゃんの存在があることで物語の土台がしっかりしており、第1回として安心して見られる導入でした。

気になった・もう少し欲しかった部分

ヒロトの“今”の選択理由がもう少し深いと良かった

ヒロトがなぜ定職も恋人も持たずにこの生活をしていたのか、その背景や心情がもう少し描かれていたら、なつみとの生活が始まる前の彼の“地盤”がより強く感じられたかもしれません。「将来への不安も悩みもない」と言われていますが、なぜそう思えるのかという裏側が知りたくなりました。

なつみの上京時の心の動きにもう少し時間を使ってほしい

18歳で美大を目指して上京するなつみが抱える期待や不安は非常に大きいと思うのですが、第1回ではその“重さ”が少し軽めに扱われていた印象があります。ヴィジュアル的には上京のドラマがあるけれど、心の振れ幅をもう少し丁寧に描いてほしいと感じました。

感想まとめ

第1回は、「何でもない毎日」が変わり始める瞬間を、過度なドラマではなく静かに捉えていて、とても好印象でした。ヒロトとなつみという2人の“ゆるやかなズレ”と“異なる背景”が交わることで、物語に自然な緊張と安心が同居しています。平屋という場所が“余白”を持った象徴になっており、視聴者として「ここに何かが生まれそう」「何かが訪れそう」と期待させてくれました。

今後への期待と考察

今後注目したいのは、
– なつみが上京し平屋で暮らすことで、ヒロトの生活がどう揺れ動くか。
– 平屋を譲ったばーちゃんの思いと、なぜヒロトだったのかの背景。
– ヒロトやなつみの“小さな変化”が、町の人々や隣人関係を通じてどのように広がっていくのか。

このドラマは、派手な事件や極端な展開ではなく、「日常の隙間」「人と人が緩やかに繋がる瞬間」を丁寧に描くものだと思います。第1回はそのスタートとして、温かくも少しだけ揺れる「ひらやすみ」の世界を提示してくれました。
(あいちゃん)

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