マイペースなミナトと揺れる鮎美
第5話を観てまず感じたのは、青木柚演じるミナトの“天然マイペース”ぶりと、夏帆演じる鮎美のモヤモヤが、非常にリアルに胸に刺さる回だったということです。元カノ・関田(芋生悠)と会っていたところを鮎美が目撃し、「浮気かも?」と動揺するも、ミナトは「え?普通に会っただけだよ」「帰るまで惣菜でいい?ね?」とまるで悪びれず。
鮎美が待つ家に関田を連れて帰り、3人で飲もうと言い出すなど、信じられない展開が続き、視聴者としても「いや、普通じゃないでしょ!」というツッコミを入れたくなるほどでした。
兄・鷹広と弟・勝男の物語も同時進行
一方、鮎美をミナトに任せる決意を固めたものの、未練を捨てきれていない竹内涼真演じる勝男。地元・大分から訪ねてきた兄・鷹広(塚本高史)を通じて「頼れる兄だったはずが悩んでいた」という真実に触れます。勝男はその兄を励ますため、鮎美を巻き込んで「とり天作ろう!」という思い付きに乗り出します。料理を通じて「支える」「支えられる」関係が描かれ、こちらも心温まる展開でした。
良かったこと
日常のズレがリアルに描写された
ミナトの自然すぎる振る舞いと鮎美の小さな不安の積み重ねが、インパクトある一話でした。惣菜を買って帰る、元カノを家に連れてくる、という“違和感”が積み重なって、鮎美の胸中に芽生える「これは普通じゃない」という気づきにつながっていて、その流れが非常に自然でした。
また、勝男と鷹広のシーンでは「優秀だと思っていた兄の苦悩」という設定が、弟視点だからこそ響くもので、共感を呼びました。
料理が繋ぐ人間関係のスイッチとして機能していた
「料理を作る」というこのドラマのテーマが、第5話でもきちんと作用していました。鮎美が料理を待ち、ミナトが惣菜で済ませるという差異。そして、とり天を兄弟で作ろうという発案。料理を媒介にして「愛情」「期待」「ズレ」「和解」が描かれていた点が好印象です。
気になった・もう少し欲しかった部分
ミナトの“マイペース”に対する鮎美の反応がやや軽め?
ミナトの振る舞いが明らかに鮎美を動揺させているのに、鮎美側の行動や決断が「モヤモヤしています」で終わってしまい、もう少し“どうするのか”という動きが明確だと更に引き込まれたと思います。「彼を信じたいけど信じられない」という揺れがあってこそドラマなので、その揺れの振幅があと一段階深いともっと良かったです。
兄弟エピソードの料理の流れが少し急ぎ足に感じた
鷹広の悩み、勝男の発案、とり天という料理…という流れがテンポよく進む一方で、鷹広の“苦悩”の描写が少し省略された感じがあります。「どうして鷹広が悩んでいたのか」の背景・心情をもう少し描いておけば、弟・勝男の決意がより深く響いたと思います。
感想まとめ
第5話は、「ズレてきた関係」と「変わらなかったと思っていた絆」が交錯する回でした。ミナトと鮎美の関係では、期待と現実のギャップが露わになり、「愛されているつもり・大切にされているつもり」が壊れていく瞬間を痛く感じました。
そして、勝男と鷹広の兄弟関係では、「頼られていた兄」が「頼られる立場ではなかった」という真実に触れ、「支える側/支えられる側」が入れ替わる瞬間が描かれ、こちらも心に残りました。
料理という日常の行為を通じて、関係性の本当の形を問い直すというこのドラマならではの仕掛けが、第5話では非常に効果的だったと思います。
今後への期待と考察
次回以降、私は以下の点に注目したいです:
– 鮎美はミナトのマイペースにどう向き合うのか。「惣菜でいい?」という言葉を受けて、彼女はどう自分の気持ちを整理するのか。
– 勝男と鷹広のエピソードが、料理だけでなく“過去の関係・未解決の感情”まで掘り下げられるのか。とり天以上の“共同作業”が新しい展開を促しそうです。
– そして、料理を作る/食べるという行為が、恋愛・家族・絆をどこまで変えていくのか。第5話で提示されたテーマがどんなカタチで次回に反映されるのか非常に楽しみです。
この第5話は、恋愛も家族も“当たり前”と思っていた日常が揺らぎ始める回でした。次回もぜひ、登場人物たちの“作ってみる”という挑戦の行方を見守りたいです。
(あいちゃん)
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