なつみの挫折とヒロトの距離感
美大に入学したばかりのなつみ(森七菜)は、オリエンテーションでの自己紹介で大失敗をしてしまい、「どうせ私なんて」と自意識過剰に落ち込んでしまいます。友達ができないと嘆く彼女の姿に、「新しい環境で自信を失う」というリアルな悩みを感じました。
一方で、ヒロト(岡山天音)はそんななつみの様子を気にしながらも、自分自身の関係性—学生時代からの親友・ヒデキ(吉村界人)との約束やおめでたい報告を機に遊びに出てしまう。その帰り道、なつみからの突然の電話が入るという“いまこの瞬間”のズレが、ふたりの距離をあらためて浮かび上がらせました。
日常に潜む“変化”の予兆
自己紹介での失敗がきっかけで、「学生生活=友達と楽しい時間」というイメージが崩れたなつみ。彼女の視点から見た世界が少しずつ色を失っていく様子が胸に残ります。
またヒロトが親友・ヒデキとの飲み会で“報告”を受けて帰路につくという流れも、彼の「責任」「逃げ」「選択」のテーマをちらつかせるもので、静けさの中に確かな予感がありました。
良かったこと
挫折から入る導入の説得力
なつみが最初から完璧ではなく、むしろ失敗して落ち込む姿が描かれたことで、「この物語は成功物語ではなく、揺れ動く日常を描くものだ」という印象が強まりました。視聴者として「応援したいなつみ」という気持ちが自然に湧きました。
また、ヒロトとなつみという“年齢差・立場差”がある二人の暮らし(いとこ/共同生活という立ち位置)に、複雑な距離感がある点も興味深かったです。
瞬間瞬間の心理描写が丁寧
なつみが友達ができないことを悩むシーン、ヒロトが「なつみが元気ないな」と感じるシーン、それぞれの内面が“言葉にできない”形で描かれていたことが良かったです。特に電話がかかってきた瞬間、ヒロトもなつみも少し固まる空気が、「何かが始まる」という緊張を醸していました。
気になった・もう少し欲しかった部分
なつみの“なぜ友達ができない”の深掘りがもう少し欲しい
自己紹介での失敗がきっかけというのは分かるのですが、なつみがなぜそれだけで「友達ができない」と感じてしまったのか、その根っこの部分(自意識や過去の背景など)がもう少し描かれていれば、彼女の苦しみがより深く伝わったかもしれません。
視聴者としては「なつみはどんな人間なのか」「何が怖いのか」という問いをもちたくなるので、その掘り下げがあると尚良かったです。
ヒロトとヒデキの“報告”の意味がやや曖昧に感じられた
ヒロトがヒデキから“おめでたい報告”を受けて帰るという流れは提示されましたが、その報告が視聴者側にとって明確に何を意味しているかが少しぼやけていたように思います。「報告=何か変化が起きる」という伏線にはなっていましたが、もう少しヒデキの立場や報告の背景が描かれていれば、ヒロトの反応やなつみへの影響もより重く感じられたでしょう。
感想まとめ
第2回は、“失敗”をきっかけに日常が少しずつ動き出す回でした。なつみという若者の“自信のなさ”と、ヒロトという立場のある男の“揺れ”が同時に描かれ、それぞれの視点から「このままでいいのか」「何かを変えたい」という問いが響いてきました。
特に印象に残ったのは、なつみの電話がかかってきた帰り道という“夜の静けさ”によって、二人の日常がふとひっくり返るような瞬間を演出していたことです。日常の中にある“ズレ”がリアルに感じられて、次回への期待が自然と湧きました。
今後への期待と考察
次回以降、私は以下の点に注目したいです:
– なつみが友達を作るためにどんな行動を起こすか。失敗からどう踏み出すかという“成長”のプロセスを丁寧に描いて欲しい。
– ヒロトが自分の立場や生活にどう向き合うか。ヒデキの報告が示す“変化”がヒロトの日常にどんな影響を与えるか。
– いとこ二人暮らしという環境が、二人の関係/それぞれの成長にどう影響していくか。
この第2回は、“これから”が始まる予感を強く感じさせる回でした。次話でどんな小さな変化が生まれるのか、ぜひ楽しみにしています。
(あいちゃん)

