ふたりの帰り道に落ちる影
ある日の夕方、バイト帰りのヒロト(岡山天音)は、駅前でなつみ(森七菜)と偶然再会します。なつみは変わらず大学をサボりがちで、友達もできず、ただ阿佐ヶ谷の街をあてもなく歩いていました。 そんななつみにヒロトが「悩みはないの?」と問いかけたとき、ヒロトの答えは、なつみの思ってもいなかったものだったのです。 そして、久しぶりに大学に足を運んだなつみの前に、以前酔いつぶれたときに水をくれた横山あかり(光嶌なづな)が現れ、彼女の世界が少し揺れ始める――そんなエピソードでした。
良かったこと
何気ない問いかけが持つ深さ
ヒロトが「悩みはないの?」と問いかける場面が非常に印象的でした。普段はのんきで軽やかに見えるヒロトの言葉が、なつみにとっては意外な衝撃となります。問いかけという日常の一コマが、二人の関係とそれぞれの内面に波紋を起こしていて、静かだけれど重みのある描写でした。
なつみの揺らぎが自然に伝わる場面構成
なつみが大学を休みがちで、街をふらつく姿──これは彼女の孤独や焦りを象徴していて、視聴者として自然に感情移入できました。 さらに、大学で再会したあかりの存在が、なつみの世界に“選択肢”や“変化”の兆しを持たせていて、話の深みを増していました。
気になった・もう少し欲しかった部分
ヒロトの“悩みなさ”の背景にもう少し触れてほしかった
ヒロトの答えがなつみにとって思いがけないものだったという描写はとても良いのですが、そのヒロトの軽やかさ・余裕・背景がもう少しだけ明らかだと、なつみの反応もより際立ったと思います。彼の「悩みがない」という言葉がどういう意味を持つのか、少しだけでも見えていたら、二人の関係の“差”がより深く映ったように感じました。
あかりとの再会がもたらす変化の“きっかけ”がもう少し明確に欲しかった
あかりというキャラクターの登場は、なつみにとって重要な転機になりそうな予感を抱かせました。ただ、なぜ彼女があのタイミングで現れたのか、また彼女がなつみに与える影響がどの程度なのかが、もう少しだけ明らかにされていたら良かったなと思います。
感想まとめ
第4回は「問いかけ」と「再会」という二つの出来事が、登場人物たちの“今”を少しだけ揺らし始めた回でした。 なつみの“日常の停滞”と、ヒロトの“軽やかさ”との対比、そしてあかりの“登場”が、物語に静かな転換点をもたらしていました。 二人の世界がゆるやかにクロスしながら、しかしまだ完全には交わらず、その“すれ違い”こそがこのドラマの魅力だと改めて感じました。
今後への期待と考察
これから特に注目したいのは次の点です:
– ヒロトの「悩みはない」という言葉が、本当に“何もない”という意味なのか。それとも“言えない何か”を含んでいるのか。
– なつみがあかりという存在をどう受け入れ、どう動いていくのか。大学や街での立ち位置が変わるのか。
– 彼らが暮らす“平屋での共同生活”という環境が、二人の関係やそれぞれの成長にどんな影響を与えるのか。
このドラマは、“日常の中の非日常”や、“軽やかそうで重い瞬間”を丁寧に描いていると感じます。第4回は、その“重さ”が静かに漏れ始めた、とても印象深い回でした。
(あいちゃん)

