ルーレット旅から始まる福井への逃避行
第6話では、前話に続いて、先輩(岩本蓮加)と後輩(冨里奈央)が「プロの無職」と「限界漫画家」という不思議なルームシェア生活を離れて、旅に出るロケーション・コメディとしての魅力がますます膨らんでいました。金沢でオムライスを満喫した翌日、先輩が作った手製の“旅の計画表”を携え、福井へ向かうという冒頭からワクワク。
「恐竜にはロマンがある!」という先輩の熱い宣言が、ただのグルメ旅を超えて“童心と冒険心を蘇らせる旅”へと導いていく構図がとても良かったです。
良かったこと
旅×グルメ×青春逃避、三拍子そろった楽しさ
福井名物のソースカツ丼を二人で食べるシーンが、いかにも「ご褒美旅」という感じで楽しさ倍増でした。普段の生活から離れて、美味しいものを喜び、先輩の“恐竜博物館”訪問という大目標に向けて動く二人の軽やかさが視聴していて気持ちよかったです。
また、旅の中で先輩が“計画表”を用意するという細かな演出が、ふたりの関係性における「リードする先輩/ついていく後輩」という構造を明確にしていて、その絶妙なバランスが甘くて面白かったです。
先輩の“恐竜ロマン”が示す深い願い
「恐竜にはロマンがある!」というセリフには軽さもありつつ、なぜか胸を打つものがありました。先輩が博物館を目的地に据えることで、ただグルメ旅・観光旅ではない「時間を超える感覚」「過去から未来への連続性」というテーマがうっすら見えてきて、コメディとしての軽さだけではない深みも感じられました。
気になった・もう少し欲しかった部分
後輩の旅に対するスタンスがもう少し見えると良かった
この旅の主導権が先輩側に大きくあり、「ついてくる後輩」という構図が楽しい反面、後輩がどうこの旅を“自分ごと”として捉えているのか、もう少し掘り下げられていたら、二人の関係性がさらに立体的になったと思います。
例えば、後輩が旅中でふと見せる表情や台詞がもう少し抑揚あると、「なぜ旅に出たかったのか」「何を逃したかったのか」が伝わりやすかったかもしれません。
恐竜博物館がメインになる予感も…旅パートの余白が少なめ
福井の博物館訪問が本エピソードのクライマックスであることが提示されていましたが、そこに至るまでの“道中”――移動中の会話、二人の何気ないやり取り、風景との対話――がもう少し丁寧に描かれていたら、旅の“間(ま)”の味わいが増していたと思います。
感想まとめ
第6話は、ふたりの“現実逃避”が一歩旅の形を取った回でした。
無職の先輩と締切に追われる後輩という対比が、旅・グルメ・博物館という軽やかな枠組みの中で自然にほぐされ、「日常から離れてみる」という逃避の意義が楽しさと共に伝わりました。
特に、旅の目的が「恐竜博物館」という一筋縄ではないところに、先輩の内面の“遊び心”と“願い”が見え隠れしていたのが印象的でした。
今後への期待と考察
次回以降注目したいのは、博物館での体験が二人にどんな変化を与えるのか。
先輩が“恐竜ロマン”を語る意味、後輩がこの旅を通じて何を見つけるのか。さらに、旅を終えた先輩・後輩のルームシェアの日常に、この経験がどう波及するのかにも興味があります。
このドラマは、「逃げる」だけではなく、「出かける」「体験する」「選ぶ」というアクションで日常を変える物語だと思います。第6話は、その動きが具体的に“旅”という形になった、気持ちのいい回だったと言えそうです。
(あいちゃん)

