第5話は、静かで、でも心に深く突き刺さる回だった。
波瑠さん演じる薫の言葉が、まるで鏡のように視聴者の心を映し出した。
「誰かに言ってもらわないと自分の価値を信じられないんですか?」——
この一言、優しくて痛い。今を生きる私たち全員への問いだった。
“仕事”と“自分の価値”の間でもがく人たち
今回の焦点は、副社長・黒木竜馬(向井康二さん)の迷い。
川栄李奈さん演じる茉海恵と共に立ち上げたベンチャー「RAINBOWLAB」で、努力を続けてきた彼。
でも最近、茉海恵の態度が冷たく感じ、彼は「自分が必要とされていないのでは」と不安になる。
そんな彼のもとに届いた“ヘッドハンティングのメール”。
自分を認めてくれる存在に、心が揺れるのは当然だ。
それでも「やめるつもりはない」と言いながらも、彼の目には迷いが浮かんでいた。
薫(波瑠さん)はそんな竜馬の気持ちをすぐに見抜く。
彼女の経験と優しさがにじむ会話のテンポが、見ていて息が詰まるほどリアルだった。
波瑠の“真っすぐな問い”が胸に響く
「茉海恵さんには竜馬さんが必要です。それは間違いのない事実です。」
ここまでは誰でも言える励まし。
でもそのあとに続く——
「誰かに言ってもらわないと自分の価値を信じられないんですか?」
この一言で空気が変わった。
薫の声は優しいのに、どこか突き放すような冷たさもあって、
その“距離感”が逆に真実味を持って響いた。
この言葉、仕事だけじゃなく、人間関係にも、SNSにも通じる。
“誰かに褒められないと自分を信じられない”という現代的な不安を、
たった一文で射抜いたセリフだった。
向井康二の揺れる表情がリアルすぎる
竜馬を演じる向井康二さんの表情も素晴らしかった。
褒められたい気持ち、見放されたくない恐れ、そして薫の言葉を聞いたあとの“悔しさと救い”。
すべての感情が混ざった表情が、一瞬で伝わってきた。
セリフを超えて、沈黙の時間のほうが雄弁だった。
「この人、ほんとは強くなりたいんだ」って、見ていて胸が熱くなる。
SNSでも“刺さる”人が続出
放送後、SNSは「今週の薫さん、名言すぎ」「この言葉、メモした」「誰かに認められなくても生きていいって言われた気がした」と共感の声で溢れた。
「波瑠さんの目が強すぎて泣いた」「静かに泣けた回」「この脚本、刺さりすぎ」など、言葉の温度が視聴者の心を直撃した様子。
“励まし”でもなく、“説教”でもなく、“目を覚まさせる言葉”——それが今回の薫の台詞だった。
まとめ
第5話は、「誰かに認められたい」という人間の弱さと、「自分で自分を信じる力」の狭間を描いた傑作回。
波瑠さんの静かな演技と、向井康二さんの揺れる心。
この二人のシーンだけで15分は観ていられるほどの緊張感があった。
「誰かに言ってもらわないと自分の価値を信じられないんですか?」
このセリフは、きっと来週以降もずっと心に残る“ドラマの核心”になる。
静かな夜に観るには少し痛いけど、だからこそ忘れられない。

