相棒 season24 第5話 感想文(ネタバレがあります)― 過去と現在が重なる「昭和100年」の謎

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“昭和元年”の未解決事件と今、交差する殺人

第5話を見てまず惹きつけられたのは、名門大学・榮明大学で起こった事務局長の遺体発見から、昭和元年に起きた未解決殺人事件が浮上する構図です。事務局長のそばに残された「昭和百年の同志へ」という手紙が、過去と現在を結びつける鍵となっていて、捜査に関わる杉下右京(役:水谷豊)と亀山薫(役:寺脇康文)の二人も、「昭和元年に秘書だった者」の署名と手紙の署名が一致しているという重大な手がかりを掴みます。
過去の事件現場と同一の場所で遺体が発見されていたこと、その大学一族が隠し続ける秘密が何であるかという疑問が、視聴者としてもぐんと深まりました。

良かった点

時間を超えて響く「告発」の手紙の演出

「私に代わり真実を告発してほしい」と書かれた手紙が、昭和の初めに遡る事件と今につながるという構成が斬新でした。過去の“秘書”という立場の人物が、現在にも影響を及ぼしているというドラマ性が、観ていてゾクゾクしました。
また、名門大学・理事長一族の影にある「隠されてきた事故」「土砂崩れ」「地域犠牲者」などのキーワードが示唆され、単なる殺人事件以上の社会的・歴史的な背景を帯びていたのも見応えがありました。

右京・薫コンビの揺れと信頼が丁寧に描かれている

右京が論理と過去資料を紐解く一方で、薫が現場・学生・理事長一族と接しながら「信じるか疑うか」の狭間で揺れる。理事長令嬢・令華(黒崎レイナ)が「協力したい」と申し出る展開も入り、二人の信頼関係/捜査方針の違いが垣間見えました。
歴史を追う捜査と、現代の大学キャンパスという舞台のギャップも効いていて、重層的な面白さを感じました。

気になった・もう少し欲しかった部分

動機・隠蔽構造の描写がやや断片的

「昭和元年の秘書が殺された」「大学が大事故を隠した」「その告発を今手紙で呼びかけている」という構造は提示されましたが、なぜ今このタイミングで遺体が出たのか、理事長一族が何をどこまで隠していたのか、少し説明が剪定された印象があります。
もう少し人物の内面(秘書の心情、学生令華の動機、理事長元徳の罪意識など)を掘ってくれたら、余韻がさらに深まったと思います。

展開の速さゆえの余白の少なさ

昭和→現在、大学→地域事故、学生→理事長一家と話が多重層になっていて、それ自体は魅力ですが、情報量が多くて一瞬「整理が追いつかない」と感じる場面も。特に過去資料の読み込み、大学キャンパスでの学生の動き、理事長令嬢の動機など、もう少しペースを落として“間”を持たせて欲しい瞬間もありました。

感想まとめ

第5話を通して、ただの殺人ミステリーではなく、「時間・歴史・記憶」がテーマになっている作品だと改めて感じました。昭和元年という“時代の転換期”と、2025年という“昭和100年”と重ねることで、時代そのものが“告発”の舞台になっているようでした。
右京と薫という“現在を生きる捜査官”が、過去の傷を掘り起こすことで、大学、地域、個人の“隠された罪”に光を当てるという流れが強く印象に残ります。
その一方で、まだ“何が隠されていたのか”、“誰がそれを守ろうとしたのか”という核心の部分が完全には姿を現しておらず、「明かされていない謎」が次回以降への期待をグッと高めました。

今後への期待と考察

次回以降で注目したいのは、理事長一族・若松家の“隠蔽”の過程と、学生・令華の真意、そして手紙を書いた秘書・大桑智正(昭和元年事件当時)と現在被害者とのつながりがどう明らかになるかです。
また、大学の土砂崩れ事故という地域的な事件との関連がどこまで捜査に影響を及ぼすのか。視聴者としては、「歴史が未来を呼び覚ます」という構図がこのドラマの核だと思うので、今後の展開が非常に楽しみです。
このシリーズは、ただ“犯人探し”を超えて、「時代と組織と個人」がどう交錯するかを描いていて、第5話はその本質に迫る重要な回だったと感じました。
(あいちゃん)

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