食卓の願望が新たな一歩に変わる瞬間
第7回では、ヒロト(岡山天音)が、毎日のように食卓に「肉」を求めるなつみ(森七菜)にバイトを促す場面から物語が動き出します。ですが、なつみはなぜか得意げな顔をしており、実はマンガ家を目指して応募した新人漫画賞で受賞し、デビューを狙っていたという思惑が明らかになります。
その後、学校で知り合ったあかり(光嶌なづな)に誘われ、彼女が働く中華屋でバイトをすることを決めるなつみ。バイト初日、慣れない仕事であたふたする彼女の姿が、真剣でありながら初々しく、視聴者としても応援したくなりました。
良かったこと
なつみの“夢”と“現実”が交差する演出
「肉を食べたい」という日常的な願いから、マンガ家デビューという大きな夢へと視界が広がるなつみの変化が、とても自然に、かつ丁寧に描かれていました。バイトという“現実”に足を踏み入れながらも、その先にある“漫画家としてのステージ”を視線の端に残しているあたりに、物語の奥深さを感じました。
また、ヒロトがなつみにバイトを勧める際の配慮や、「どう支えるか」という視点が出ていたのも良かったです。彼の立ち位置が、ただ「お兄ちゃん的存在」ではなく、「応援者・理解者」として機能していたのが印象的でした。
バイト初日の“あたふた”が親近感を生む
中華屋での初出勤。慣れない仕事、オーダーの急変、厨房の慌ただしさ…こうした細かい描写が心地よく、なつみの「慣れてないけど頑張る」姿に脚を取り込まれました。視聴者としても「あ、私も初日こうだったな」と共感できる瞬間があり、夢追い人のリアルな側面がきちんと出ていたと思います。
気になった・もう少し欲しかった部分
受賞の“その後”が少しさらっとしていた
なつみが応募した新人漫画賞で受賞したという設定が物語の鍵になっていましたが、その受賞の背景や本人の心の動きがもう少し描かれていたら、応援する気持ちがさらに強くなったと思います。「なぜ受賞できたのか」「それがなつみにとってどう意味があるのか」という掘り下げがもうひと押し欲しかったです。
ヒロトとなつみの関係の変化がやや控えめに感じた
ヒロトがなつみにバイトを促す場面から、なつみが新しいステージに歩み出す展開に移るのは良かったのですが、二人の関係性(ライフスタイル、夢への理解、距離感)がこの回でどれだけ変化したのかという点が、もう少し明確だとよりドラマチックだったと思います。なつみが“得意げ”になる理由にヒロトがどう反応するか、そのあたりももう少し見たかったです。
感想まとめ
第7回は、夢と日常がふと交錯する瞬間を描いた、温かくも前向きな回でした。なつみの「肉を食べたい」という単純な願いが、マンガ家になるという大きな目標へ繋がる構図が、視聴者としても自然に受け入れられました。
また、バイトという“現実”に踏み出すことで、これまでのなつみの世界が少しだけ広がり、そしてヒロトという存在がその広がりを支えようとしている姿が、静かながら心に残りました。
このドラマが描くのは、派手な事件ではなく、「少しずつ変わる、少しずつ成長する日々」ということ。第7回は、その“少しずつ”が確かな一歩になっていると感じました。
今後への期待と考察
次回以降注目したいのは、なつみのバイトがどのようにマンガ家への道と結びつくか、そしてヒロトがその道をどれだけ理解・支援できるかという点です。また、あかりという友人の存在が、なつみにどんな影響を与えるかも気になります。
このドラマは、“夢”を掲げる人たちの“暮らし”を丁寧に描いていて、第7回はその“暮らしの変化”がしっかりと映し出された回だと思います。
(あいちゃん)

