『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』、笑って泣いて最後に「へ?」ってなる大団円(感想)(ネタバレがあります)

本ページはプロモーションが含まれています

本日予約開始のコミック本を楽天ブックスでチェック
90日以内に発売予定の最新コミック本をAmazonでチェック

第最終話、終わった瞬間しばらく画面見つめたまま動けなかった。
蔦重(横浜流星さん)の人生を全部見届けた気分で、胸がいっぱいなのに不思議と重くない。
しんみりだけで終わらせないところが、この大河らしさ全開。
粋とかシャレとか、そういう言葉が自然に浮かぶラストで、余韻がずっと続いてる。

病に倒れても走り続ける蔦重の背中

店を再開してからの蔦重(横浜流星さん)は、とにかく動いてた。
本屋として、出版人として、止まる気ゼロ。
でも脚気で倒れてしまって、そこから一気に空気が変わる。
治療が難しい病に、てい(橋本愛さん)も歌麿(染谷将太さん)も不安を隠せない。
それでも蔦重は、病を押して戯作者や絵師たちと作品を生み出し続ける。
生き方そのものが仕事で、仕事そのものが人生だったんだなって伝わってきた。

夢に現れる九郎助稲荷、その距離感が絶妙

ある日見る不思議な夢。
拍子木の音とともに現れる巫女姿の九郎助稲荷(綾瀬はるかさん)。
この登場の仕方が、怖くもなく、軽すぎもせず、ちょうどいい。
「今日の昼九つ、午の刻に迎えに来ますので」って、笑顔で言うのがまた刺さる。
臨終を知らされて「えぇっ!?」って素で驚く蔦重、完全に人間で好きだった。
合図は拍子木、っていう約束が、最後まで効いてくるのも上手い。

最期の時間と、ていの言葉

翌日、いよいよその時が近づく中で、てい(橋本愛さん)が流す涙が静か。
大声で泣かないのに、感情が全部伝わってくる。
蔦重のこれまでの仕事を称える言葉が、どれも嘘じゃなくて重い。
胸を押さえて苦しむ蔦重を囲むように、戯作者や絵師たちが集まってくるのも胸熱。
一人の人生が、ちゃんと多くの人に繋がっていたって分かる場面だった。

「俺たちは屁だ!」で空気がひっくり返る

午の刻を知らせる鐘の音。
事切れたように見えた蔦重にもたれかかる、ていの身体。
ここで終わると思ったら、南畝(桐谷健太さん)が立ち上がる。
「呼び戻すぞ」「俺たちは屁だーっ!」って、涙と勢いが混ざった叫び。
みんなで輪になって「屁!屁!屁!」って踊り出す流れ、情緒が忙しい。
悲しみを笑いでひっくり返す、この世界観が最後に来るのが最高だった。

拍子木が聞こえない、その一言で完成するラスト

ゆっくり目を開く蔦重(横浜流星さん)。
一気に静まり返る仲間たち。
そこで出る「拍子木…聞こえねえんだけど…」。
全員の「へ?」って顔で、全部持っていかれた。
死も生も、重さも軽さも、全部ごちゃまぜにして落語みたいに締める感じ。
最後まで蔦重らしくて、べらぼうに粋だった。

まとめ

最終回は、大河なのに肩の力が抜けていて、それがすごく良かった。
蔦重(横浜流星さん)の生き様を、悲劇にも美談にも寄せすぎないバランスが見事。
笑って泣いて、最後にクスッとさせる終わり方はなかなか出会えない。
物語が終わったというより、夢噺が一席終わった感覚。
しばらく拍子木の音、探しちゃいそう。
(こころん)