最終話、台風の映像よりも人の感情のうねりが強かった。
碇拓真(佐藤隆太さん)を中心にしたチームの空気が、ここにきて一気に濃くなる。
アクションも緊迫感も十分なのに、見終わったあとに残るのは人間関係の余韻。
しかもラスト数秒で、全部ひっくり返すみたいな置き土産まで残してくるの、ずるい。
台風の日の判断が突きつけた覚悟
大型台風が迫る中、黒木謙一(柿澤勇人さん)が三上慎吾(松本怜生さん)を拉致して逃走。
碇が追跡を願い出るのは当然の流れだけど、署長の玉虫肇(椎名桔平さん)が許可しない判断も理解できる。
安全と使命、その板挟みが最終話らしく重たい。
この段階で、誰が何を優先するのかがはっきり分かれていくのが印象的だった。
日下部と礼子、それぞれの「行きたい理由」
日下部峻(加藤シゲアキさん)は母の危篤という私情を抱えながらも、三上を助けたい気持ちを選ぶ。
有馬礼子(山下美月さん)も、大沢俊夫(小林隆さん)の存在が気になって引き下がらない。
この2人の訴えに、玉虫が条件付きで出航を認める流れが熱い。
命令じゃなく、覚悟を見て判断した感じがして、チームドラマとしてすごく良かった。
貨物船で一気に緊張が張りつめる
黒木が乗り込んだ貨物船の停泊場所を突き止めてからの展開は、一瞬も気が抜けない。
礼子が無線で緊急検査を呼びかけ、船内に入った瞬間の空気が重い。
そこに現れる大沢、そして突然姿を見せる黒木。
発砲音が響いた瞬間、碇と日下部の反応が即座で、ここまで積み重ねた信頼関係が見えた。
派手だけど雑じゃないアクションだった。
それぞれの選択が迎えた着地点
事件が一区切りついたあと、人間関係の変化が静かに描かれる。
礼子が「いつか碇さんの隣に立ちたい」と話す場面は、まっすぐで眩しい。
それを聞いた碇(佐藤隆太さん)が、少し照れたようにうれしそうなのが印象的だった。
一方で、日下部と礼子が別れる展開は意外だけど、無理に丸く収めなかったところがリアル。
ラストの人影が残した違和感
すべて終わったと思わせてからの、船上に映る謎の人影。
黒木の遺体が見つかっていないことを思い出させる演出が、あまりにも意味深。
水色シャツの右肩、あの後ろ姿。
続編を想像せずにはいられない終わり方だった。
礼子が刑事として戻ってくる未来まで、自然に思い浮かんでしまう。
まとめ
最終話は、アクションと人間ドラマのバランスが一番良かった回だった。
碇拓真(佐藤隆太さん)と日下部峻(加藤シゲアキさん)のコンビは、最後まで信頼感が強い。
きれいに終わったようで、実はまだ続きがありそうな余白を残したラスト。
終わった直後なのに、次の一話を待ってしまう感覚が残る。
この後味こそが、このドラマの強さだった。
(りりたん)

