第64回、空気が静かなのに心の中はずっと騒がしかった。
トキ（高石あかりさん）と元夫の銀二郎（寛一郎さん）が並んで歩いてるだけで、もう複雑。
そこにヘブン先生（トミー・バストウさん）たちが現れて、一気に感情が交差する。
怪談が始まった瞬間、この回はただ事じゃないって分かった。
偶然の遭遇が生んだぎこちない空気
月照寺で“大亀”に辿り着いたら、ヘブン、イライザ、錦織の3人がいた展開、心の準備が追いつかない。
通訳を介して自己紹介する流れも、どこか張りつめてる。
銀二郎（寛一郎さん）が差し出した手を、ヘブン先生（トミー・バストウさん）が拒否した瞬間、空気が一段冷えた。
そのあと「おっちょこちょいなメイド」という言葉から始まる言い合いが、完全に夫婦ゲンカみたい。
雇い主と女中の距離じゃないのが、一目で分かるやり取りだった。
怪談がつないだトキとヘブンの世界
ヘブン先生が「大亀の怪談を話してほしい」と頼む場面、銀二郎の表情が切ない。
かつては自分とトキをつないでいた怪談が、今は別の人との共通言語になっている。
トキ（高石あかりさん）が語り始めた怪談を、ヘブン先生が通訳なしで聞き取っていく流れが静かで強い。
言葉だけじゃなく、感情ごと受け取ってる感じがして、2人の世界がすっと閉じていく。
周囲が自然と輪の外に出る空気、あれは見てて胸にくる。
イライザ（シャーロット・ケイト・フォックスさん）の横顔が語る決意
怪談の最中、外側に立つイライザの言葉が重たい。
「好きなことになると周りが見えなくなる」という分析が、的確すぎる。
ヘブン先生がこの土地に溶け込んで変わったことに、ちゃんと気づいてるのが伝わる。
寂しそうなのに感情を抑えた横顔が印象的で、何かを決めた目をしてた。
この回で一番静かなのに、一番大きく動いてたのはイライザかもしれない。
夕暮れの海辺で明かされた銀二郎の本音
怪談のあと、トキと銀二郎が海辺を歩く時間がしみる。
トキがヘブン先生の話を楽しそうに続けるのが、逆につらい。
その流れを止めるように出てきた「東京の怪談」の話。
「一緒に聞きに行こう」「やり直したい」という言葉が、まっすぐすぎて胸が痛い。
銀二郎（寛一郎さん）の一途さが、優しくて残酷だった。
すれ違う4人の感情が浮き彫りになった回
嫉妬してる銀二郎。
静かに独占欲を燃やすヘブン先生。
変化を受け止めようとするイライザ。
そして、まだ自分の気持ちを言葉にしきれていないトキ。
偶然の出会いなのに、それぞれの心の奥がはっきり見えた回だった。
まとめ
第64回は、怪談を通して人と人の距離が浮き彫りになる回だった。
トキ（高石あかりさん）とヘブン先生（トミー・バストウさん）の近さも、銀二郎（寛一郎さん）の想いも、どれも本物。
誰かを選ぶってことは、誰かを置いていくことでもあるのが苦しい。
この先、トキがどんな選択をするのか、静かに見守りたくなる余韻が残った。
（ゆめのん）
