初回から盛りだくさんで、ちょっと息切れするくらいだった。
特命係の空気がピリッとしてるのに、杉下右京（水谷豊さん）のとぼけ顔が時々すべってくる感じ、たまらない。
亀山薫（寺脇康文さん）とのテンポは相変わらず軽やかで、でも軽口の裏にちゃんと事件の重みが居座ってる。
笑ったり固まったり、感情が忙しくてスクロールの手が止まらなかった。
右京（水谷豊さん）の“内弟子”ムーブ、静かにガチすぎ
講談師・瀧澤青竜（片岡鶴太郎さん）の屋敷に潜り込むために、身分を隠して弟子入りって発想がまず粋。
雑用をサラッとこなす右京（水谷豊さん）、所作が丁寧で、潜入してるのに妙に居心地よさそうなのも笑う。
けど笑ってるうちに、細かな手掛かりを拾ってくる集中力がじわっと怖い。
箒を持ちながらでも視線は常に“証拠モード”。
台所の動線、床のきしみ、掛け軸の影――そういう小さな違和感を、紅茶の湯気みたいに当たり前の顔で観察してくるのが右京流。
軽口ゼロでも、背中で推理してるのが見えてドキッとする。
亀山薫（寺脇康文さん）の一直線さ、帰ってきた熱量が爽快
別行動の薫（寺脇康文さん）は、相変わらずの一直線。
人の心にぐっと踏み込む聞き方、懐に入るタイミング、どれも勘が冴えてる。
事件が冤罪かもしれないって線に、迷いはあるのに足は止まらない。
“相棒”としての呼吸は、肩の力を抜いたボレーみたいに自然で、右京（水谷豊さん）の繊細さと薫の直球がぶつからずに交わる。
ふたりの会話の間に、長年の積み重ねがふっと滲む瞬間があって、画面越しでも温度が上がる。
核心に触れそうで触れないやり取りが、見てる側の想像を勝手に走らせるのも気持ちいい。
“特命係のボス”降臨：甲斐峯秋（石坂浩二さん）、メモ一枚で全部持ってく
報告が来てないのを察して、甲斐峯秋（石坂浩二さん）が青竜（片岡鶴太郎さん）にサインをもらう体で出現。
ここ、完全に狙い撃ち。
右京（水谷豊さん）にスマホを渡して写真を頼むと、画面には「勝手なまねは結構だが、せめて僕には断ってからやれ」ってメモ。
圧はあるのに文面が妙に礼儀正しくて、笑いと冷汗が同時に出る。
上司の釘刺しを“写真お願い”で包むの、手練れ感がえげつない。
しかも、言外の「わかってるよね？」がちゃんと届くのが特命係の距離感。
この三角関係、緊張とユーモアのバランスが絶妙。
右京の“はい、チーズ”が塩すぎて空気が変わる
峯秋（石坂浩二さん）が青竜（片岡鶴太郎さん）に「薹が立った前座さんですこと」って軽口を投げた瞬間、右京（水谷豊さん）の表情がスッと曇る。
次の「はい、チーズ」が、棒読みというより氷点下。
語尾に感情を混ぜないだけで、こんなに空気が冷えるのかとびっくり。
スマホのシャッター音がやけに乾いて聞こえて、画面越しに肩がすくむレベル。
SNSで“塩対応”って言葉が並ぶのも納得で、あの一言に、ルールを外れた潜入と上司への複雑な距離感、両方のイライラが凝縮されてた。
静かな反抗って、音より刺さる。
青竜（片岡鶴太郎さん）の気配、華やかさの奥にある影
青竜（片岡鶴太郎さん）は華やかで、言葉に艶がある。
けど、目の奥の反射が少し鈍いときがあって、そこに物語の影が潜んでる感じ。
内弟子として横に立つ右京（水谷豊さん）が、呼吸のズレを測るように視線を差し入れていくのが緊張感の源。
講談の間（ま）に、事件の真実がこぼれ落ちる前触れがあって、拍手より先に背筋が伸びた。
演者の手の内を見抜く探偵と、舞台の上で全部をコントロールしようとする講談師。
火花というより、静かな圧の押し合い。
そこで揺れる一瞬一瞬が、第1話の芯になってた。
冤罪の影と、特命係の“別行動”が生む推進力
最高裁の死刑判決という重たい現実に、冤罪の可能性が差し込む。
右京（水谷豊さん）と薫（寺脇康文さん）が別ルートで手掛かりを集める構図は、情報が立体的に積み上がっていくのが快感。
片や屋敷の匂いと足音、片や人情のほころびと本音。
どちらの道にも答えの断片が転がってて、それがラストに向けて寄り合わさる予感だけで胸がざわつく。
重いテーマを軽やかに運ぶためのユーモアが、峯秋（石坂浩二さん）との小競り合いに散りばめられていて、笑った瞬間に心拍数が落ち着くのも上手い。
まとめ
第1話は、“渋い笑い”で包んだハードな導入。
右京（水谷豊さん）の職人みたいな潜入、薫（寺脇康文さん）の真っ直ぐな突破力、峯秋（石坂浩二さん）の老獪な一手、そして青竜（片岡鶴太郎さん）の艶。
どの場面も余白が多くて、次の一歩を勝手に想像させる作り。
あの塩っぽい「はい、チーズ」が、今後の火種になるのか、それとも二人の呼吸をもっと深くする合図なのか。
笑って、固まって、少しだけ怖くなる。
そういう濃度で、次回も覚悟して待ちたい。
（みかんてぃ）
