第15話、心がぐちゃぐちゃに揺さぶられた。
松野トキ(高石あかりさん)と雨清水家の人々、それぞれの“家族”の形が音を立てて崩れていく。
傳(堤真一さん)の最期と、三之丞(板垣李光人さん)の叫び。
どちらも愛が深いからこそ痛い。
朝ドラなのに、涙の温度がずっと夜みたいだった。
トキ(高石あかりさん)の献身が照らす、傳(堤真一さん)の回復
工場での仕事も家の世話も、全力で支えるトキ。
その姿に、傳(堤真一さん)の顔にも久しぶりに柔らかな表情が戻る。
けれど、その穏やかさの裏で、三之丞(板垣李光人さん)の心は揺れていた。
前夜、自分がトキの“弟”であると知ってしまったから。
彼女を見つめるまなざしが、優しさとも嫉妬ともつかない複雑な色をしていた。
静かな会話の中にある緊張が、見ている側の胸にもじわじわとしみ込んでいく。
工場での出来事、そして傳が見た“決定的な瞬間”
工場では検番の平井(足立智充さん)が厳しい品質検査をしていて、失敗の続くせん(安達木乃さん)に手を上げてしまう。
その一瞬を、傳が目撃。
怒りと驚きで言葉を失い、三之丞に説明を求めるが、傳の体が限界を迎える。
崩れ落ちるように倒れ込む傳の姿に、静かな悲鳴が画面いっぱいに響いた。
「体調が回復してきた」と信じていた矢先の出来事で、朝の光が一気に冷たく感じた。
三之丞(板垣李光人さん)の叫びが胸を刺す
「無理ですよ…今さら」
震える声で三之丞が言葉を紡ぐシーン、息をするのも忘れた。
兄ばかりが優遇され、何も教わらず、声もかけられずに育ってきた彼。
「手放した分、愛おしくなるのなら、私もよそで育ちたかったです」
その言葉の奥には、父を求めた少年のままの痛みがあった。
堤真一さんの傳が、その言葉を静かに受け止めるように手を伸ばす姿。
あの“手の温度”だけで、どれだけの愛が伝わったか計り知れない。
傳(堤真一さん)の最期と、トキの涙
トキが「もう気づいていました」と穏やかに伝えた後、傳が「お前はわしとおタエの子ではない」と語る場面。
声を振り絞りながらも、最後まで優しかった。
「産まれたときから。そしてこれからもずっと」
その言葉に、父親としての愛が凝縮されていた。
伝えきった瞬間に、力尽きてタエ(北川景子さん)の腕に崩れ落ちる。
トキの目から溢れる涙が、“娘”としての本当の涙に見えた。
高石あかりさんの表情、言葉にならない悲しみが画面越しでも刺さる。
三之丞の心と、傳の愛が交わった瞬間
家では居場所がなく、ずっと“誰かの代わり”のように生きてきた三之丞。
だからこそ、傳がトキを愛おしそうに見つめるたびに、胸が焼けるように痛んでいた。
でも、あの最期の瞬間、父が自分の頬に触れた時だけは、たしかに家族だった。
板垣李光人さんの涙の演技、静かに崩れていくような繊細さが忘れられない。
“家族”って血の繋がりじゃなくて、触れ合った時間と想いなんだと気づかされた。
まとめ
第15話は、愛のかたちが壊れて、でも確かに残った朝だった。
高石あかりさんのトキが見せた強さ、堤真一さんの傳の静かな愛、板垣李光人さんの三之丞の痛み。
それぞれの心が交わるたびに、涙が止まらなくなる。
「ばけばけ」という優しいタイトルに、こんな深い悲しみが隠れているなんて。
朝から泣かせにくるの、反則レベルだった。
(ちーず姫)