朝から胸が忙しい回だった。
トキ(高石あかりさん)の迷いも、ヘブン(トミー・バストウさん)の静かな覚悟も、全部が画面の間に滲んでた。
プロポーズがあるのに即答できない感じとか、視線が合って外れる瞬間とか、細かいところがずっと刺さる。
第65回は、選ばなかった言葉と、選んだ歩き方がいちばん雄弁だった気がする。
銀二郎(寛一郎さん)のプロポーズが重く響いた理由
4年ぶりのランデブーの帰り道での「東京で一緒に暮らそう」は、タイミングとしては完璧だった。
ずっと会いたかった相手からの言葉なのに、トキの表情は硬いまま。
嬉しさよりも、決めきれない自分への戸惑いが前に出てた。
銀二郎(寛一郎さん)の声は優しいのに、その優しさが余計にトキを縛ってしまう感じが切ない。
愛されていることと、同じ未来を描けることは別なんだって、静かに突きつけられた。
イライザ(シャーロット・ケイト・フォックスさん)が見てしまった現実
ヘブンの家で、和室に飾られた絵に気づくイライザ。
そこにあったのは、彼女の知らない「松江で生きるヘブン」。
トキが描いた横顔と、ヘブンが描いたトキの姿が並んでるの、説明なしで全部伝わる配置。
涙をこらえながらの誘いも、勘の良さゆえに自分の立ち位置を理解してしまうのも苦しい。
シャーロット・ケイト・フォックスさんの表情が、強がりと諦めの境目をきれいに見せてた。
花田旅館で交差した視線と気まずさ
トキと銀二郎が花田旅館を訪れたところで、ヘブンとイライザと鉢合わせ。
海外では自然なハグも、この場では情報量が多すぎる。
その光景を見たトキの胸がざわつくの、無理もない。
誰も悪くないのに、空気だけが重くなる瞬間ってある。
その場を離れてからの「おやすみなさい」が、やけに長く残った。
橋の上であふれたトキ(高石あかりさん)の涙
別れたはずなのに、何度も振り返ってしまう二人。
橋の上で立ち止まり、遠ざかる背中を見つめるトキ。
泣いてるのに、笑ってごまかそうとする表情が胸にくる。
その姿を、銀二郎とイライザが静かに見ている構図も残酷で美しい。
誰も間違ってないのに、選択だけが残っていく感じだった。
「諦める」と言えた銀二郎の強さ
翌日、松野家でトキを諦めると宣言する銀二郎。
引き留められても、意思を変えないのが本気の証拠。
「私とじゃなくてええけえ」という言葉に、相手の幸せを願う覚悟が詰まってた。
寛一郎さんの落ち着いた語りが、余計に胸に残る。
この人もまた、ちゃんと愛してたんだって分かる場面。
散歩という選択がすべてをつないだ
橋の先で再会するトキとヘブン。
イライザはもう帰ったと聞いて、空気が少し変わる。
「私もご一緒してええですか」という一言が、すごく自然。
海辺を歩きながら、笑って、目を合わせて、手を差し出して、そっと握る。
同じ道を一緒に歩きたいって気持ちに、やっと二人が気づいた瞬間だった。
まとめ
第65回は、説明を削いだからこそ感情がまっすぐ届いた回だった。
サブタイトルの意味も、主題歌の歌詞も、最後の散歩で全部回収された感じ。
トキ(高石あかりさん)とヘブン(トミー・バストウさん)が選んだのは、派手な未来じゃなく並んで歩く今。
セリフが少ない分、歩幅と視線が語る余韻が強い。
朝ドラでこの終わり方、心に長く残る。
(ゆめのん)

