第44回、最初は「源内生きてるかも?」のワクワクが前面にあったのに、気づいたら歌麿(染谷将太さん)の闇の深さに心がざわっとしたまま動けなくなった。
蔦重(横浜流星さん)と歌麿の距離がズレていく感じ、ちょっとした目線の変化だけでも胸の奥がキュッとなる。
てい(橋本愛さん)の優しさや鶴屋(風間俊介さん)の気遣いまで重なって、感情があっちこっち引っ張られて大変だった。
源内(安田顕さん)の“生存説”で場の空気が一気に揺れた
4月の放送で獄死した平賀源内(安田顕さん)が、まさかの生存説で浮上するというミステリアス展開。
江戸の空気がふっとゆらぐような、ひそかな熱が走る感じがして見ててワクワクした。
蔦重(横浜流星さん)も、源内の影を追ううちにどこか呼吸が軽くなっていって、沈んでいた顔に少しずつ火が戻る。
てい(橋本愛さん)もその変化を感じ取っていて、夫婦で静かに復活していく雰囲気がなんか温かかった。
源内が生きているかどうか以上に、蔦重自身が元気を取り戻していく様子がじんわり胸に残った。
歌麿(染谷将太さん)の“別れ”の冷たさがえぐい
歌麿はずっと蔦重に気持ちを寄せていたのに、その感情に終止符を打つみたいに離れていく決意をする。
西村屋の万次郎(中村莟玉さん)と仕事をし始める姿は、前に進んでいるようで実はどこか表情に影がある。
吉原の親父が「仲取り持つぞ」と言っても、歌麿は伏し目がちで「吉原への恩は返すつもり」とだけ言う。
その声色が妙に静かで、冷えていて、まるで心の奥まで凍っているみたいに感じた。
蔦重と離れた痛みを抱えたまま淡々と話すその姿、手放す痛みをこらえすぎて逆に無感情になる瞬間ってああいう顔なのかも。
てい(橋本愛さん)が差し伸べた“絵”というやさしい救い
歌麿が描いた恋心の下絵を手に、てい(橋本愛さん)が「これを仕上げて売り出しませんか」と蔦重に提案。
色も柄もまだ描かれてない下絵だけど、ていの中には“歌麿の気持ちをつなぐ一歩にしてほしい”という願いがあった。
「歌さんが使いそうなお色、お好みの柄、旦那様ならわかるでしょう?」
その言い方が優しくて、蔦重(横浜流星さん)への信頼ごと渡してる感じがすごく丁寧。
母としてでも絵師の妻としてでもなく、“蔦重の支えになりたい人”としての言葉に聞こえて胸が温かくなった。
ただ蔦重は「勝手に出すと嫌がる」と迷い続けていて、その葛藤すら愛情の深さに見えて苦しくなる。
完成した女絵が、まさかの悲劇を呼ぶとは…
蔦重が細部までこだわって仕上げた「歌撰恋之部」。
歌麿の好みや恋心を知り尽くした人だからこその完成度で、鶴屋(風間俊介さん)が「さすが」と認めるほどの出来。
でも、その絵の印の配置が歌麿の地雷を踏んでしまった。
本来上に来るのは絵師の印。
蔦重は“仕掛け”を推すときだけ自分の印を上にしていたと説明していたけど、それを事前に相談してなかったことがずっとしこりになっていた。
その積み重ねが爆ぜるように、歌麿は無表情のまま絵を破り捨てる。
そして紙花のように空中へ散らせる姿がとにかく痛々しい。
怒りじゃなくて、絶望が混ざった手つきで、見てる側も息が止まった。
吉原での“闇落ち歌麿”が静かに怖すぎた
吉原で派手に遊んだ順で仕事を受けると言い放ち、本屋たちが騒ぐのを酒を片手にただ眺める歌麿の瞳が完全に光を失っていた。
「紙花まかれないと何年後になるかわからないよ」
いつもの歌麿なら軽口か愛嬌として成立したはずなのに、このときの声は刺すように冷たい。
鶴屋が治郎兵衛(中村蒼さん)の紙花を全部持っていき渡しても、歌麿の表情はひとつも動かない。
蔦重への気持ち、絵への誇り、裏切られたような感覚、全部が混ざって黒い影になってる感じがした。
染谷将太さんの“静かな闇”の演技がうますぎて、背中にひやっとしたものが走った。
まとめ
第44回は、源内(安田顕さん)のミステリー要素と、歌麿(染谷将太さん)の心の闇が同時進行で押し寄せてくる濃い回だった。
蔦重(横浜流星さん)の愛情や迷い、てい(橋本愛さん)の優しさ、鶴屋(風間俊介さん)の誠意が全部あって、それでも届かない歌麿の心が痛くて切ない。
でもこの痛みがあるからこそ、次回どんな形で向き合うのか、余計に見届けたくなる。
今回の染谷将太さんの演技は本当に圧巻で、静かに狂気が滲む表情の中に繊細さが宿っていて、目が離せなかった。
胸が重いのに、続きを求めてしまう回だった。
(ゆめのん)

