第34話は田沼時代がついに終わりを告げ、物語の柱だった意次（渡辺謙）が退場する回。蔦重（横浜流星）との最後の握手シーンは胸が熱くなったのに、その裏で公開されたNG映像はまったく違う温度で、思わず笑ってしまった。厳しい時代を描く本編と、和やかなオフショットのギャップが、余計に心に沁みた。
田沼意次の退場と時代の転換
第34話では、田沼意次（渡辺謙）が失脚し、松平定信（井上祐貴）が老中首座に就くことで、空気ががらりと変わる。第1話から蔦重に寄り添い続けてきた意次が去ることで、物語は新しい局面に入った。渡辺謙さんの存在感が大きかっただけに、その退場は視聴者にとって大きな喪失感を残した。横浜流星さん演じる蔦重の視線にも、深い別れの色がにじんでいた。
最後の握手シーンと“ありがた山の寒がらす”
蔦重と意次が「ありがた山の寒がらすにございます！」「こちらこそ、かたじけ茄子だ」と言葉を交わし、強く握手する場面。これまでの信頼関係を凝縮したようなやり取りで、歴史の荒波を越えてもなお通じ合う二人の絆が鮮やかに描かれた。横浜流星さんの真剣な眼差しと、渡辺謙さんの柔らかな笑みが、別れのシーンにぬくもりを与えていた。
NGシーンで見えた素顔のやりとり
公開されたNG映像では、渡辺謙さんが「ありがた茄子じゃ」とセリフを言い間違える姿が映っていた。横浜流星さんが「かたじけ茄子ですよ」とすかさず訂正すると、渡辺さんは「あ！そうだ！」と豪快に笑い、横浜さんの頬をペチペチと触るという微笑ましい流れに。画面越しにも二人の距離感の近さが伝わり、親子みたいな関係性が垣間見えた。
本編とのギャップが残す余韻
本編では厳しくも重厚な歴史劇として描かれる一方、NG映像では朗らかな笑い声が響く。このギャップが視聴者の心を温めると同時に、田沼様の退場をさらに寂しく感じさせた。シリアスな別れの場面を撮影していた二人が、カメラが止まった途端に見せるリラックスした笑顔は、作品を超えた人間的な絆を感じさせるものだった。
まとめ
第34話は、物語上大きな節目となる田沼意次の退場が描かれた回。本編の重さと、横浜流星さんと渡辺謙さんのNG映像の明るさ、そのコントラストが強く心に残った。去っていった田沼様の存在がより愛おしく思えると同時に、キャスト同士の信頼関係が作品に厚みを与えていることが分かる。笑いと寂しさが同時に押し寄せる、不思議な余韻を残す回だった。
（ちーず姫）
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