『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第37回、きよの赤い湿疹が不穏すぎる(感想)(ネタバレがあります)

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第37回「地獄に京伝」、あまりにも心臓に悪い展開だった。喜多川歌麿(染谷将太さん)が「おきよがいたら俺なんでもできる気がするよ」と言った直後に、妻・きよ(藤間爽子さん)のくるぶしに映る赤い湿疹。幸せの余韻を切り裂くようなカットに、視聴者の呼吸が止まった。画面を通して伝わる違和感が、そのまま次の展開への不安に直結していった。

春町の死がもたらす暗雲

第37回の冒頭、恋川春町(岡山天音さん)が自死に追い込まれるシーンから始まった。松平定信(井上祐貴さん)の厳しい取り締まりが直接の原因で、地本問屋や戯作者たちは衝撃に沈む。そんな中でも、蔦重(横浜流星さん)は黄表紙の火を絶やさないため、政演(古川雄大さん)に執筆を託す。光と影が同時に走る場面に、蔦重の強さと脆さの両方を感じた。けれど春町の死の重みは、そのまま物語全体を覆う不吉な影にも見えた。

歌麿に訪れた大きなチャンス

そんな暗さを振り払うように、歌麿のもとに朗報が届く。栃木の豪商(U字工事・福田薫さん)が、屋敷に飾る肉筆画を依頼してきたのだ。肉筆は絵師の名を高める絶好の機会。歌麿は「おきよがいたら俺なんでもできる」と弾む声で語り、幸せに満ちた表情を見せる。このシーン、歌麿ときよの夫婦の結びつきがどれだけ深いかが伝わって胸が温かくなる瞬間だった。だからこそ、その直後に訪れる映像の“仕掛け”が余計に刺さる。

きよ(藤間爽子さん)の赤い湿疹が突きつける不安

朗報の余韻を壊すように映し出された、きよの足首。赤い湿疹がくっきり見えて、SNSでは「え、今のなに?」「やめて」「病気?」とざわついた。後の場面で政演(古川雄大さん)が訪ねた際には、その湿疹が広がっていたことまで描かれる。梅毒か、疱瘡か、それとも別の病か。確かなことは語られないのに、映像が放つ“嫌な予感”は視聴者全員の心をざわめかせた。幸せの絶頂にいたはずの二人だからこそ、不穏の描写がなおさら重く響く。

きよが歌麿にとってのかけがえのない存在だからこそ

きよは耳が聞こえず、親を亡くしてからは洗濯女として必死に生きてきた。時には客を取って糊口をしのいだ過去もある。そんな彼女が、歌麿のトラウマを癒やし、創作の力を引き出す“ミューズ”になった。だからこそ彼女の赤い湿疹は、ただの病気の暗示ではなく、歌麿の未来を揺さぶる伏線にも見える。これまで瀬川花魁(小芝風花さん)や誰袖花魁(福原遥さん)、新之助(井之脇海さん)など、蔦重と近しい人物が幸せの瞬間に突き落とされてきた。視聴者が「また同じことが起こるのでは」と震えるのも無理はない。

まとめ

第37回は、春町の死、蔦重の決意、歌麿のチャンス、そしてきよの不穏な湿疹と、希望と絶望が同時進行する濃い内容だった。きよ(藤間爽子さん)の存在は歌麿(染谷将太さん)にとっての心臓であり、物語の支柱。だからこそ“異変”の描写が重すぎて、見終わったあともしばらく胸がざわついた。幸せを守り抜けるのか、それともまた悲劇に飲まれるのか。次回が待ち遠しいけれど、同時に怖くもある。
(ましゅまろん)