最初から胸がざわついた。
蔦重(横浜流星さん)が背負った重さ、恋川春町(岡山天音さん)への悔い、そして松平定信(井上祐貴くん)への刺々しい視線。
北尾政演(古川雄大さん)や喜多川歌麿(染谷将太さん)まで巻き込まれて、空気がピリッと痛いのに、つい呼吸を合わせちゃう回。
語り(綾瀬はるかさん)の抑えたトーンも刺さる。
第37回の空気:春町の不在が、蔦重(横浜流星さん)の背にのしかかる
恋川春町(岡山天音さん)の自死が、場の温度を数度下げたみたいに冷たい。
蔦重(横浜流星さん)は「自分が決めたこと」の責任に押しつぶされそうで、肩の線がいつもより下がって見える。
てい(橋本愛さん)がそっと支えるのに、彼は前だけ見ようとして足元を見失いかけてる感じ。
春町の本を出すと決めた強さが、同時に自分を尖らせちゃう残酷さ。
この矛盾がずっと胸に引っかかって、台詞の間(ま)にまで寂しさがにじむ。
定信(井上祐貴くん)の涙:静かな謝罪と、止まれない政治
松平定信(井上祐貴くん)は、ふんどしの守なんてあだ名でいじられつつも、中洲取り壊しや倹約、さらに棄捐令まで一気に押し出す強硬さ。
その一方で、徳川治貞(高橋英樹さん)に向かってこぼした悔恨は、声を荒げないのに胸に刺さる。
春町を追い詰めたのは自分の流れかもしれない、と。
涙を堪える目が赤くて、彼の正しさの中にある“孤独”が透ける。
正義って、時々こんなふうに人を細くしてしまうのか、という重たい問いが残った。
政演(古川雄大さん)×歌麿(染谷将太さん):“ありのまま”がひらく別ルート
北尾政演(古川雄大さん)は叱られ済みで慎重モード。
でも歌麿(染谷将太さん)の“ふすま”に広がる生き物の線に触れて、ふっと目がほどける。
「黄表紙じゃなくても、お客と女郎の“リアル”を小話で描けば、いい客を育てられるんじゃ?」って発想の転換。
蔦重(横浜流星さん)は最初ピンと来ないけど、政演の言葉は種みたいに残る。
笑いで救うのか、知恵で守るのか、その間にある「現実」の温度を二人が確かめてる時間が、やさしくて切ない。
吉原を救うって、本気のやつ?てい(橋本愛さん)の一言が鋭い
「吉原を楽しい場所に」って夢を握りしめる蔦重(横浜流星さん)に、てい(橋本愛さん)が差し出したのは冷静な提案。
青本寄りで“人の道”を示す形にすれば、と。
けど彼は「春町先生の進化を後戻りさせるのか」と反発。
ここで見えたのは、蔦重の“反発心”が目的を上書きし始めてる危うさ。
田沼意次(渡辺謙さん)との因縁や、定信(井上祐貴くん)への対抗心が燃料になって、方向が少しズレる。
愛ゆえの直進が、最短距離じゃないときの怖さがじわっと広がる。
『傾城買四十八手』と『心学早染艸』:面白さか、理念か、どっちも本気
山東京伝として筆を立てた政演(古川雄大さん)の『傾城買四十八手』は、蔦重(横浜流星さん)も「よくやった」と笑顔。
なのに、別の本屋から定信の倹約・正直・勤勉をエンタメ化した『心学早染艸』が出た瞬間、空気が爆ぜた。
「これが流行れば皆ふんどし担いじゃう」と怒る蔦重に、政演は「面白いことこそ黄表紙の命」と返す。
どっちも本気で正しいから、ぶつかると火花が長い。
蔦重が手を上げてしまった一瞬、彼が今どこを見ているのか、目の焦点が少し迷子に見えた。
まとめ
春町(岡山天音さん)の不在を起点に、蔦重(横浜流星さん)と定信(井上祐貴くん)が同じ痛みを抱えたまま別ルートに進む第37回。
政演(古川雄大さん)と歌麿(染谷将太さん)が差し出した“ありのまま”の灯りは、小さいけど確か。
面白さで救うのか、理念で導くのか、答えはまだ途中。
だからこそ、次に誰がどの言葉を選ぶのか、その瞬間を見逃したくない気持ちが残った。
(ゆめのん)
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