べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 第39回、「べらぼう!」に全部詰まってた夜(感想)(ネタバレがあります)

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言葉が出ない回だった。
横浜流星さん演じる蔦重の“たわけぶり”が、笑えるのに胸を刺す。
橋本愛さんのビンタは、愛と怒りと絶望が全部混ざってて美しかった。
「白河の清きに魚住みかねて元の濁りの田沼恋しき」——狂歌ひとつで、権力に立ち向かう姿が痛快すぎる。
江戸の風と人の誇りが、全部この回に詰まってた。

蔦重(横浜流星さん)、“清き世”に息ができない反骨の男

牢屋敷での蔦重(横浜流星さん)は、ボロボロになっても目が死んでなかった。
松平定信(井上祐貴さん)に向かってあの狂歌をぶつける姿、ただの挑発じゃない。
彼にとって“言葉”は武器であり、生きる証なんだと感じた。
「白河の清きに魚住みかねて…」の一節に、自由を奪われた江戸の息苦しさが凝縮されてる。
横浜流星さんの笑い方が、痛みを飲み込んでるようで震えた。
たわけているのに、魂が真っ直ぐ。まさに“江戸のメディア王”の誕生を見た瞬間だった。

てい(橋本愛さん)の強さ、静かな炎

夫を救うために、命乞いに行くてい(橋本愛さん)のシーン。
小さな体で、大きな権力に立ち向かう姿に涙が止まらなかった。
論語を引用して「儒の道に損なわぬお裁きを」と言う声が震えていないのがすごい。
恐怖よりも“信念”が勝ってた。
橋本愛さんの演技が研ぎ澄まされすぎていて、空気が止まる。
本屋の娘として培った知識と、妻としての覚悟。
その二つが重なった瞬間、彼女がこのドラマのもう一人の主役だと確信した。

“べらぼう!”の叫びが刺さる理由

お白洲で蔦重(横浜流星さん)がふざけ始めた瞬間、てい(橋本愛さん)の手が飛んだ。
あのビンタ、痛い以上に愛があった。
「己の考えばかり!」って泣きながら叩く姿は、夫婦の真実そのもの。
どんなに信念があっても、支えてくれる人の痛みを忘れたら意味がない。
「べらぼう!」という叫びに、怒りも哀しみも、そして愛情も全部詰まってた。
見ている方も、思わず胸の奥を殴られたような気分になった。

鶴屋(風間俊介さん)の喝、“友”の一撃

釈放後の蔦重が「借金も半分持ってってくんねえですかね」と言ったとき、笑いながら泣いた。
どこまで行ってもたわけ者。
でも、そのたわけに付き合って怒る鶴屋(風間俊介さん)がいてくれてよかった。
「ほんと、そういうところですよ!」という一喝が、優しさの塊だった。
たわけ者を止められるのは、同じ目線で怒れる人だけ。
この二人の関係が、江戸の人情の根っこを象徴してた。

定信(井上祐貴さん)と意次(渡辺謙さん)、理想と欲の狭間

定信(井上祐貴さん)の“清き世”と、田沼意次(渡辺謙さん)の“濁りの世”。
どちらが正しいかなんて簡単に決められない。
定信の正義は窮屈で、意次の自由は危うい。
そのどちらにも属さない蔦重こそ、本当の自由人。
「真の世のためとは何か」と問う言葉が、まるで現代にも響いてくる。
森下佳子さんの脚本、やっぱり言葉が深い。
善悪じゃなく、“呼吸できる世界”を描くのがこのドラマのすごさ。

まとめ

第39回は、「たわけることの意味」を問い直す回だった。
横浜流星さんの芯のある狂気と、橋本愛さんの理性的な激情。
二人の対比が美しくて、愛しくて、痛かった。
“清き世”よりも、“人の心がある世”で生きたい。
それが蔦重の本音であり、ていの願いでもある。
「べらぼう!」の叫びは、叱責であり、愛の証。
江戸も現代も変わらず、人は誰かに叩かれてようやく生き返るのかもしれない。
(ゆめのん)

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