『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』最終回、名前を呼ばない優しさに胸が詰まる(感想)(ネタバレがあります)

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第48回、始まった瞬間から「終わり」が近い空気が静かに流れてた。
蔦重(横浜流星さん)の歩き方も、目線も、これまでより少しだけゆっくり。
派手な別れじゃないのに、心の奥にずっと余韻が残る最終回だった。
中でも、平蔵とのあの場面は、言葉が少ないからこそ感情が溢れてきた。

人生の終盤でも本に向かい続けた蔦重

脚気を患いながらも、本作りをやめない蔦重の姿がとにかく静かで強い。
店を再開して、伊勢まで足を運び、本居宣長との出版交渉に挑む流れも、最後まで「商いの人」だった。
成功しても立場が変わっても、やっていることは一貫していて、そこが蔦重らしい。
横浜流星さんの演技が、力を入れすぎず、でも芯が折れていない感じで胸に残る。

平蔵(中村隼人さん)が伝えたかった「ある人の今」

宿場町の茶屋で、平蔵が蔦重を呼び出す場面の空気が独特だった。
駕籠屋を眺めながら語られる言葉が、回りくどいのに優しい。
「子にも恵まれ、幸せにしておるようだ」
それだけで、誰のことか分かってしまう関係性が重い。
病を押してまで知らせたかった事実が、それだけ大切だったのが伝わる。

瀬川という名前を出さない演出の強さ

瀬川(小芝風花さん)の名前は、最後まで一度も口にされない。
それなのに、分かる。
駕籠かきたちと楽しそうに話す女将の後ろ姿だけで、全部伝わってくる。
顔を映さないことで、彼女が「過去」ではなく「今を生きている人」として存在している感じがした。
幸せを見届けるだけで満たされる感情が、画面越しにも滲んでた。

吉原を思い続けた二人の男の視線

岡場所への取り締まりの話をしながら、吉原への想いを語る平蔵の言葉が深い。
「泥沼でも、時には蓮が咲く場所であってほしい」
かつて遊び人だった平蔵と、吉原を楽しい場所にしたいと語っていた蔦重。
立場は違っても、守りたいものは同じだったのが分かる。
二人が同じ方向を見て、同じ女性を想っていた過去が、静かに重なる。

白髪のシケが語る時間の重み

平蔵がシケを作っていたのに気づいた瞬間、胸がきゅっとなった。
若い頃の名残が、白髪になって残っているのが切ない。
仕事の顔とは違う、吉原で過ごした時間の記憶がそこにあるみたいだった。
中村隼人さんの表情が、その人生を全部背負ってる感じで忘れられない。

まとめ

最終回は、大きな別れよりも、静かな余白が心に残る回だった。
蔦重(横浜流星さん)と平蔵(中村隼人さん)が見つめた「幸せな今」が、何よりの救い。
名前を呼ばず、顔も映さず、それでも伝わる感情の深さが本当に美しい。
一年かけて積み上げた物語の終わりとして、とても品のあるラストだった。
(ゆめのん)