ぼくたちん家 第5話 感想文(ネタバレがあります)― 新たな隣人と過去の関係、未来を模索するアパート物語

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隣人としての一歩と心の距離

第5話では、波多野玄一(及川光博)が暮らすアパートの隣に、中学教師・作田索(手越祐也)が仮住まいとして引っ越してきたことで、玄一の“喜び”と“不安”が入り混じった感情が丁寧に描かれました。玄一は「これで正式にお隣さんですね」と口にするほど、索を歓迎する姿を見せる一方、索は「勘違いしないでくださいね」と距離を置く言葉を残します。
その中で、元恋人・吉田(井之脇海)が突然現れることで、玄一は索との関係に微妙な揺れを感じ始め、隣人というだけでは済まされない“関係性”の変化が幕を開けました。

良かったこと

恋愛の始まりを感じさせる繊細な演出

玄一と索が“恋人つなぎ”をするシーンには、視聴者からも「キュン」といった声が寄せられており、二人の関係に変化の兆しが見えてきました。索が玄一の手をそっと握ることで、「ただ隣人」という関係から少しだけ“別の何か”へと動き出す瞬間が生まれたのが印象的でした。
また、玄一がかつて作った「初恋のうた」というカセットテープが登場し、過去の思い出を索が知ろうとする様子が、「今だけじゃない物語」を感じさせてくれました。

多様な“家庭”と“友達”のかたちが浮かびあがる

同じアパートに住む中学3年生・楠ほたる(白鳥玉季)の話も進み、友達と思っていた“なっち(大島美優)”の背景がゆらぎ始めることで、「友達とは何か?」「家族とは何か?」という問いが自然に立ち上がっていました。
同時に、アパートの大家・井の頭(坂井真紀)と、逃亡中の母・ともえ(麻生久美子)の間に交わされたキーホルダーの託し合いには、不在の母と子、家を離れた人々への深い視線があり、ドラマ全体に優しさと切なさが同居していました。

気になった・もう少し欲しかった部分

索と吉田、元恋人との関係の描き方が少し浅めに感じた

元恋人・吉田が引っ越しを手伝いに来たことで玄一の動揺が生まれたのは効果的でしたが、索と吉田の“別れてなお繋がる”関係がどう始まったのか、あるいはなぜ今も距離を保ちつつ関係を続けているのか、といった内面描写がもう少し欲しかったと感じました。もう少しだけ背景が補われていれば、玄一の不安もさらにリアルに感じられたはずです。

ほたるとなっちの関係変化の納得感がもう少し欲しい

なっちが急に受験勉強を始めるという展開は興味深かったのですが、その動機(眉毛を剃るから偏差値が高い学校へ、など)が少し軽く感じられ、ほたるの「本当にこの子友達?」という疑問にはもう少し“積み重ね”が欲しかったです。視聴者として、なっちがどこから来てどこへ向かおうとしているのかをもう少し知りたかったという思いがあります。

感想まとめ

第5話は、「隣人」「元恋人」「友達」「母と子」という複数の関係が同時に動きだした、非常に構成的にもテーマ的にも豊かな回でした。
玄一と索の距離感、ほたるとなっちの友情の揺らぎ、そして母・ともえの過去と逃亡という“背景”がすべてアパートという日常の中で静かにリンクされていき、ドラマとしての深みに拍車がかかっていました。
何気ない引っ越しというイベントが、キャラクターたちの心の動きを触発し、それぞれの“居場所”や“居続ける理由”を改めて問いかけてきたのが印象的です。

今後への期待と考察

次回以降、注目したいのは以下の点です:

– 索と玄一が“隣人以上”の関係に進むか否か。特に玄一の過去(初恋のうた、鯉登くんの存在)に索がどこまで入っていくのか。
– ほたるがなっちとの関係をどう整理するか。友達という言葉の意味を自分なりに問い直す瞬間が来そうです。
– ともえの横領事件の真相が明かされつつある中で、ほたるが母をどう受け止めるのか、そして井の頭がどのように“家”として機能するか。
– 最後に、このドラマが示す“家”とは何か。住む場所、安心できる人、信頼する関係――それらが交錯する中で、登場人物たちがどうそれぞれを選び取っていくのか楽しみです。

このドラマは、決して華やかではない“すみっこ”の登場人物たちを丁寧に描きながら、彼らの“日常”を通して普遍的な問いを投げかけています。第5話はその問いが一気に形を帯びてきた回であり、次回もますます見逃せません。
(あいちゃん)

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