『ぼくたちん家』、静かに胸を満たす終着点が優しすぎた(感想)(ネタバレがあります)

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第10話、終わり方が派手じゃないのに、心の奥に長く残るタイプ。
波多野玄一(及川光博さん)と索(手越祐也さん)と楠ほたる(白鳥玉季さん)、この3人の距離感が最後まで変わらず不器用で、それが逆にリアルだった。
笑える場面もあるのに、ふとした沈黙で涙腺を試してくる感じ。
社会の端っこにいるって言葉が、いつの間にか居心地のいい居場所に変わっていくのが分かる最終話だった。

3人の関係性がたどり着いた場所

玄一(及川光博さん)の優しさは、最後まで押し付けがましくなくて、だからこそ沁みる。
索(手越祐也さん)のクールさも、終盤では少しだけ角が取れていて、その変化が自然。
ほたる(白鳥玉季さん)は相変わらず大人びてるのに、時々見せる中学生らしい揺れがちゃんと残ってる。
血縁でも制度でもないけど、確かに「家」だったんだなって納得できる関係性。
奇妙なのに、見てる側の感覚にはすっと馴染んでくるのが不思議。

長野のギター工房と、ほたるの決意

ギター職人を目指すほたるに付き添う玄一と索の姿が、もう保護者そのもの。
工房の空気は静かで、木の匂いまで伝わってきそうだった。
職人さんたちの手元を見つめるほたるの目が、迷いよりも覚悟に近い光を帯びていく。
「ここで働く」という決断が軽く描かれてるのに、人生的にはかなり重い選択。
それを応援する2人が、背中を押しすぎないのも、このドラマらしかった。

婚姻届を出しに行くという行動の意味

区役所に向かう玄一(及川光博さん)と索(手越祐也さん)の並びが静かに強い。
結果的に婚姻届は受理されなかった。
それでも「きちんと伝えます」という職員の言葉が、制度の外側に小さな波紋を残した感じ。
出せなかった過去がある索にとって、今回は確実に前進。
行動した事実そのものが、2人の革命だったように見えた。

棒アイスと初恋、伏線がそっと回収されるラスト

当たりつきの棒アイスを見せ合って笑う玄一と索。
昔は当たりが出なかった話が、ここで静かにひっくり返る。
初恋、後悔、自己否定、全部を抱えたままでもいいんだって言われてるみたい。
派手なキスも大きな宣言もないのに、「ずっと一緒にいよう」の破壊力がすごい。
優しさがちゃんと報われるラストだった。

ほたるの言葉が残した余韻

「この世の中に私に関係ないものなんてないのかも」。
ほたる(白鳥玉季さん)のこの一言が、物語全体を包み込む。
世界と距離を取って生きてきた子が、世界と繋がろうとする瞬間。
優しくなりたいって願いが、こんなにもまっすぐで切ないとは思わなかった。
このセリフ、時間が経ってもふと思い出しそう。

まとめ

最終話は、大きな答えを出すというより、静かに肯定してくれる回だった。
玄一(及川光博さん)と索(手越祐也さん)の関係も、ほたる(白鳥玉季さん)の未来も、無理にまとめないところが好き。
それぞれがそれぞれの速度で前に進いているのが伝わってくる。
優しい終わり方って、こういうことなんだと思えた。
見終わったあと、少しだけ呼吸が深くなるドラマだった。
(ちーず姫)