第1話あらすじ:三階建てレトロマンションと夫婦の秘密
物語は、東京郊外のレトロな三階建てマンション「たそがれステイツ」を舞台に始まる。
小倉渉(北村有起哉)と妻・あん(仲間由紀恵)は、ふたりの子どもを抱える普通の夫婦に見えるが、実は過去に「子どもが20歳になったら離婚する」という約束を取り交わしていた。
渉はその約束をもう忘れてしまっているが、あんはずっとその言葉を胸に抱えて生きてきた。
この契約が、ふたりの現在と未来を揺さぶる伏線として投げられ、第1話ではこの秘密がじわじわと輪郭を帯びてくる。
また、マンションには他の住人たちも暮らしていて、老夫婦や若い家族、子どもたちなどが日常を紡いでいる。
その雰囲気づくりが「大家族的な温かさ」と「個人の孤独感」の両方を感じさせる空間として機能していた。
秘密が見え隠れする関係性の描写
「20歳になったら離婚する」という約束は、このドラマの核となる引き金だと思う。
あんがそれを抱えていること、渉が忘れてしまっていること、このズレがすでに緊張を孕んでいる。
ふたりの会話や視線のやりとりには、言葉にできない思いが滲んでいて、その行間を読む楽しさがある。
特にあんの覚悟と渉の鈍さのコントラストが効いていて、視聴者は「あんの思いを渉は理解してあげられるのか?」という問いを抱え始める。
マンションの他の住人との交流も、人の距離感や秘密、日常の温かさを浮かび上がらせていた。
印象に残った演出・象徴性・空気感
この第1話で心を捉えたのは、「たそがれ」という時間帯の演出。
夕暮れどき、部屋や廊下に射す斜光、影と光の交錯――こうした映像美が、物語の“揺らぎ”を強めていた。
日常のなかにある不安や約束の重みを、時間と色調で見せる演出が効果的だった。
また、マンションが“もうひとつの人物”のように感じられる。その中で住人たちの小さなドラマが垣間見えることで、主人公夫婦の問題がより際立つ構造になってたなと思う。
気になった点と期待される展開
第1話ゆえに、契約の経緯や動機がいくつか語られずじまいだったのは当然だけど、もう少しあんの過去の選択や渉との約束に至った背景が見えていたら、感情移入が深くなっただろうとは感じた。
渉側も、なぜその約束を安易に受け入れたのか、あるいは忘れてしまったのか、もう少し傷が見えてもいい。
また、マンションの他住人たちが今後どう絡んでくるかが鍵になると思う。彼らの物語が夫婦の秘密とどう交差していくのか、落としどころが気になるところ。
総評と今後への期待
第1話としては、設定の強さと空気感の演出で十分視線を掴むスタートだった。
「約束」「時間」「距離」がキーワードとして立ち上がってきていて、今後はこの約束が家族や他者との関係にどう影響するかが見どころ。
あんと渉が互いに本心をさらし始めるとき、そのタイミングと葛藤をどう描くかが、このドラマの核になると思う。
次回以降、秘密がどれだけ解かれていくか、登場人物たちの過去と現在の交錯が楽しみだなあと思った。
(あいちゃん)