大泉洋さん主演、野木亜紀子さん脚本。
この二人の名前が並ぶだけで“面白くならないわけがない”と期待していたが、第1話はその期待を軽く超えてきた。
コメディであり、SFであり、そして静かなラブストーリーの予感。
「ちょっとだけエスパー」という絶妙なタイトル通り、“大それた超能力”ではなく、“人の心を少しだけ感じ取る力”が描かれ、視聴者の心にもそっと触れてきた。
大泉洋×野木亜紀子が生み出す新しいヒーロー像
主人公・文太(大泉洋)は、会社をクビになり、家族にも見放され、まさにどん底のサラリーマン。
そこに現れるのが、謎の会社「ノナマーレ」。
“世界を救う”という突拍子もない仕事を任され、飲まされたカプセルで“エスパー”になってしまう。
ただし、能力は「人に触れている間だけ心の声が聞こえる」という、控えめで不完全な力。
それでも文太は、その力で人の孤独や苦しみを知り、社会の闇を垣間見ていく。
大泉洋さんの持つ“人間臭さ”がこの設定にぴたりとはまり、笑えるのに切ない、不思議な余韻を残した。
宮崎あおい演じる四季が放つ“透明な愛しさ”
文太が“夫婦として”暮らすことになる謎の女性・四季(宮崎あおい)。
彼女は文太を本当の夫だと思い込み、穏やかな笑顔で「おかえり」と迎える。
この瞬間、視聴者の多くが「この宮崎あおいを愛さないなんて無理」と心の声を漏らしたに違いない。
四季は“ノナマーレ”の一員ではなく、文太が世界を救うミッションのことも知らない。
それでも、花を見て「幸せ。いつまでもこうしてたい。愛してる」と思う純粋な心の声が、あまりに美しくて胸が締め付けられた。
“人を愛してはならない”という禁断のルール
第1話の終盤、社長の兆(岡田将生)から告げられるルール――
「人を愛してはならない」。
社名「ノナマーレ」はイタリア語の“non amare(愛さない)”に由来するという。
この瞬間、単なるSFではなく、“愛を禁じられた人々”の物語であることが明らかに。
四季への想いを芽生えさせてしまった文太が、どのようにこのルールと向き合うのか。
この“愛してはいけないヒーロー”という構図に、野木脚本らしい深みを感じた。
ちょっと不思議で、ちょっと切ない“ミッション”たち
文太に課された最初のミッションは、「鈴木琢磨に傘を持たせる」「佐藤満の目覚まし時計を5分早める」「高橋健作のスマホの充電を14時までにゼロにする」。
どれも世界を救うにはほど遠い、小さな行動ばかり。
だが、その“ちょっとだけ”の積み重ねが、のちに大きな変化をもたらすのだろう。
野木作品らしいユーモアと皮肉が効いた構成で、観る人を笑わせながらも考えさせる。
脇を固める豪華キャストと“能力”の妙
桜介(ディーン・フジオカ)は植物を撫でると花が咲く“植物系エスパー”。
円寂(高畑敦子)は“レンチンエスパー”。
半蔵(宇野祥平)は“アニマルお願いエスパー”。
それぞれがどこか滑稽で、それでもどこか神聖。
“完全なヒーローではない者たち”が世界を救うというコンセプトが新鮮で、チームとしての成長にも期待が高まる。
SNSでは「愛さないなんて無理」の声続出
放送直後、X(旧Twitter)では「#ちょっとだけエスパー」が日本トレンド1位に浮上。
「この宮崎あおいを愛さないとか不可能」「大泉洋の“おっさんヒーロー”最高」「野木亜紀子の世界観が深い」などの声が相次いだ。
特に四季の純粋さと文太の不器用な優しさの対比に、“泣けるコメディ”としての評価が集まった。
まとめ
『ちょっとだけエスパー』第1話は、笑って泣けるヒーロードラマの新境地を開いた。
人の心が読めてしまう力が、時に救いであり、時に呪いにもなる。
そんな繊細なテーマを、野木亜紀子脚本がユーモラスかつ温かく包み込む。
“愛してはいけない男”と“愛を信じる女”の物語が、どんな奇跡を生むのか。
第2話以降、ますます見逃せない展開になりそうだ。
(ゆめのん)

