コーチ 第5話 感想文(ネタバレがあります)― 新章開幕、爆破事件が引き起こす捜査班の再編と対立

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“門下生”の配属と捜査チームの歪み

第5話を見てまず気になったのは、益山瞳(倉科カナ)の班に、所(犬飼貴丈)ら 唐沢寿明 演じる向井光太郎の“門下生”たちが配属されたことでした。瞳は、それが由里(木村多江)の思惑によるものと感じ取り、班内のバランスが一気に揺れてしまいます。チームが成長するための“新血”なのか、それとも誰かの思惑を果たす道具なのか――その曖昧さがこの回の軸になっていました。

良かったこと

捜査劇に“構造の変化”が生まれた

多摩地区で起きた車の爆破事件という派手な発端が、通常担当の特殊犯捜査係だけでなく、瞳の班にも案件が振られるという非定型の展開を見せました。車体が黒焦げでナンバープレートがないという不可解な点が、“ただの爆破”ではない何かを予感させ、捜査の緊張感が高まります。
さらに、特殊犯捜査係長・高嶋(田辺誠一)が「うちはうちで進める」と宣言し、瞳に対して露骨な嫌悪感を示すことで、捜査現場の内部対立までが物語に深みをもたらしました。

人物ドラマとしての厚みも感じられた

若手刑事たち、新配属メンバー、そして班長・瞳という構図が、「誰が信頼を得られているか」「誰の思惑が裏にあるか」という視点で描かれており、刑事ドラマとしての“事件を解く”以上に“人間関係を解く”という面白さが光っていました。向井の門下生たちの動きにも注目が集まり、ただ事件を追うだけでない「成長・嫉妬・野心」の匂いが漂っています。

気になった・もう少し欲しかった部分

捜査の流れがやや駆け足に感じられた

事件発生から班の関与、配属メンバーの登場、対立の発生と展開が非常にテンポ良く進むため、少しだけ“捜査の余裕”や“情報の積み重ね”が薄く感じられました。特に、ナンバープレートがないという点や、爆破に至るまでの動機付けにはもう少し丁寧な積み上げが欲しかったです。

班内対立の導入が唐突に響いた部分も

瞳が由里の思惑を直感する場面や、高嶋が瞳に対して明確な嫌悪を示す場面は効果的ではありますが、視聴者として「なぜ今この対立が顕在化するのか」の背景説明が少し足りない印象もありました。配属や人事の裏事情・由里の意図など、もう少し伏線を積んでおくと、より深く物語に入り込めたように思います。

感想まとめ

第5話では、「新章」という言葉がぴったりの展開でした。チーム構成が変わり、捜査案件も変化し、舞台は“事件+組織内の駆け引き”へと拡がっています。瞳という女性刑事が中心に据えられつつも、その周囲の人々の思惑や力関係が見え隠れしていて、単なる爆破事件のドラマではなく“組織の中でどう生きるか”というテーマも立ち上がってきました。

ただ、事件そのものの“解き方”や“手がかりの積み重ね”において、もう少し丁寧な描写があると、より安心して見続けられたかもしれません。とはいえ、このスピード感も今後の展開の“波”として悪くなく、次回以降の期待が高まりました。

今後への期待と考察

次に注目したいのは、配属された所ら門下生の“本当の目的”。彼らが単なる新メンバーなのか、それとも由里の思惑とリンクした存在なのか。さらに、爆破事件の裏で、“なぜナンバープレートがないのか”“高嶋が瞳をあえて排除しようとする理由”も深掘りされていきそうです。
このドラマは、「人を育てる」「人に育てられる」「組織に抗う」という構図を持っており、第5話はその入口に立った回だと思います。次回が非常に楽しみです。
(あいちゃん)

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