“偶然”の裏側にある必然を知った瞬間
第4話を観てまず印象に残ったのは、主人公・翠(宇垣美里)が、真央(山中柔太朗)との出会いを「偶然ではなかった」と知ったときの衝撃です。これまでの軽やかな交流の中にも影を落としていた“何か”が、一気に鮮明になった感覚がありました。出会いが偶然ではなかったと知ることによって、翠の真央への想いがより深く、そして複雑なものへと変化していきます。
良かったこと
感情の揺れ動きを丁寧に描いた
翠が「彼への想い」が募っていくなかで、同僚・水乃(鶴嶋乃愛)のストーカー被害、元婚約者・聡(渋谷謙人)の登場など、感情を揺さぶる要素が次々と差し込まれます。特に“自分の過去”と“他者の介入”が同時に襲ってくる場面で、翠の心の揺れが非常にリアルに伝わってきました。
また、真央と憧れの建築家・広瀬(古屋呂敏)とのイベント企画シーンでは、仕事としての距離感と、個人的な心情の距離感が交錯していて、視聴者としても「この先どうなるのだろう」とハラハラさせられました。
テーマの多層性:恋愛・仕事・過去の縁
この回は単純な恋愛ドラマというよりも、いくつものテーマを同時に扱っていました。
– 真央との出会いの意味
– 水乃のストーカー被害という他者の危機
– 聡という“過去の縁”の再浮上
– 広瀬との仕事を通じて見える翠の成長と変化
それらが絡み合うことで、物語に厚みが出ていました。「出会い」「過去」「仕事」「想い」が一つの回でリンクしていく構成がとても良かったです。
気になった・もう少し描いてほしかったこと
聡と滝沢(樋口日奈)の動きの説明がややあっさり
元婚約者・聡の登場や同僚・水乃へのストーカー被害が明らかになる展開はインパクトがありますが、聡がなぜ突然現れ、なぜストーカー被害に関与しそうになるのか、もう少し背景が欲しかったです。また、滝沢の役割がどこまで“策謀”として動いているのか、その意図の掘り下げももう一歩欲しいと感じました。
仕事と恋愛の切り替えが少し急な印象
広瀬とのイベント企画シーンは良かったのですが、仕事面での打ち合わせから恋愛感情の動きへと移るテンポが少し急に感じられました。もう少し“仕事を通じてお互いを知る”時間があれば、真央の複雑な思いも、翠の揺れもさらに説得力を増したのではないかと思います。
感想まとめ
第4話は、出会いがもたらす“意味”と、過去の“縁”がこれからの人生にどう影響するかを強く印象づけた回でした。
翠は、偶然のように見えた出会いを必然と知り、その重みを感じ始めています。その一方で、真央の視線の先にあるもの、滝沢や聡がもたらす波乱、そして“仕事”というフィールドでの自分の存在価値――それらが複雑に交差しています。
「できても、できなくても」というタイトルが示すように、結果として“できる/できない”を問う前に、「出会ってしまった」「知ってしまった」という選択の連続が描かれています。第4話は、その連続の中で“知ること”“選ぶこと”の重みを視聴者にもたらしてくれたと思います。
今後への期待と考察
次回以降、私が特に注目しているのは以下の点です:
– 真央の複雑な思いの行き先。翠への想いと、仕事上/過去の縁としての葛藤。
– 聡と滝沢の真意。なぜ聡は現れたのか、滝沢の影の狙いとは何か。
– 翠自身が“仕事”を通じてどう変わるか。広瀬との企画が転機になりそうです。
– 水乃のストーカー被害の経緯。これは単なる脇道か、それとも物語の核心に繋がるのか。  
このドラマは「できても、できなくても」という選択とその結果だけではなく、「出会い」「縁」「知る」というプロセスに焦点を当てています。
第4話は、そのプロセスが加速し始めた回だと感じました。次回も非常に楽しみです。
(あいちゃん)
 
  
  
  
  
