母として、生きる女性として揺れる第6話
第6話は、登場人物それぞれの“母”という立場が強く揺さぶられた回でした。
薫(波瑠)の母・聖子(筒井真理子)が転倒して検査入院し、薫が3日間だけ“ニセママ業”を休むところから物語が始まります。
茉莉恵(川栄李奈)といろは(池村碧彩)がようやく“普通の登下校”を楽しめる、そんな安堵の空気も束の間。
母たちにとってその3日間は、むしろ普段以上に試練の連続でした。
良かったこと
ママ友社会の“圧”が現実味たっぷり
茉莉恵が朝の送迎後、急ぎの会議へ直行しなければならないにもかかわらず、柳和の三羽烏に誘われてしまう展開は、ママ社会の“空気を読まないといけない圧”がリアルに描かれていました。
断れば角が立つ。行けば仕事が回らない。
第6話は特に「働く母が直面する現実」をうまく表現していて、胸が詰まるような場面でした。
さゆりの葛藤がとても丁寧に描かれている
慎吾(笠松将)が圭吾をロンドン留学させようとする話が急浮上し、さゆり(田中みな実)は夫に何も言えないまま悩み続ける姿が痛々しくも共感を誘いました。
圭吾はジーニアス留学制度を目指し、自分の努力で夢に近づこうとしているのに、父の意向で未来が決められてしまう。
母として息子の思いを尊重したい。しかし“家の方針”の前では声を出せない──
さゆりの心情の揺れを田中みな実が繊細に表現しており、この回の見どころのひとつでした。
気になった・もう少し欲しかった部分
薫と竜馬の関係の描写をもう少し見たかった
竜馬(向井康二)が聖子を病院に送り届ける手伝いをし、意外にも聖子と打ち解けていく展開はとても温かいものがありました。
しかし、ロビーでさゆりに遭遇し、さらに事務員に「花村さん」と呼ばれるという修羅場が続き、いい雰囲気が一気に緊張モードに。
この温度差は面白かったものの、竜馬と薫の関係の“じんわり温まる部分”が一瞬でかき消されてしまい、個人的にはもう少し余韻が欲しいところでした。
三羽烏の影響力の強さが若干オーバーに感じた
茉莉恵が断れない状況の描写はリアルですが、三羽烏の圧にやや誇張感もあり、もう少し自然な流れがあるとさらに共感度が増した気がします。
感想まとめ
第6話は「母の立場」を丁寧に描いた回であり、誰もが“自分の本音を飲み込んで生きている”というテーマが色濃く出ていました。
薫は本当の母を支えながら“嘘の母”としての責任も抱え、
茉莉恵は働く母としての使命感と人間関係の板挟みに苦しみ、
さゆりは母として息子の未来を守りたいのに、家庭内の力関係に縛られて何も言えない。
それぞれの母たちが置かれた立場が違うからこそ、悩みの形も違う。
しかし共通しているのは「誰もが本当は誰かに救われたい」ということ。
その弱さと強さが交差する第6話は、このドラマのテーマをより深く掘り下げる重要なエピソードでした。
今後への期待と考察
病院で「花村さん」と声を掛けられたことは、間違いなく物語を動かす“危険な伏線”。
薫の“ニセママ”としての活動が、近いうちに誰かに露見する可能性を強く感じさせました。
また、さゆりの家庭内の問題は今後さらに大きくなりそうで、
圭吾自身が何を選び、母としてさゆりがどう向き合うかにも注目が集まります。
第6話は伏線が多く、次回への期待が大きく膨らむ回でした。
いよいよ“嘘”と“本当”がぶつかり合う瞬間が近いのかもしれません。
(あいちゃん)

