第8話、ふわっと癒やされるはずの世界が、急にひんやり静かになって息を止めた。
先輩(岩本蓮加さん)と後輩(冨里奈央さん)が後輩の実家を掃除して、高校の制服姿で笑って、ちくわぶ(猫)とも再会して――懐かしさが優しく積み重なっていくのに、最後にスッと先輩だけいなくなる。
楽しいと寂しいが同時に胸へ落ちてきて、音楽の余韻まで染み込んだ回だった。
何も語らず去った理由がまだ見えないまま、残った後輩だけが現実に取り残されてて、その静けさが一番つらい。
実家の掃除はただの現実逃避じゃなくて、2人の記憶をめくる時間だった
締切に追われる後輩と、無職で自由人の先輩。
部屋に恐竜フィギュアが増えてる時点でいつも通りの緩さなのに、「母親から部屋の片付け指令」という現実が落ちてきて、2人で実家へ逃走する展開が可笑しくて可愛い。
山みたいに積もった思い出の品に埋もれる後輩を見て先輩が「業者呼ぶレベル」と呆れるの、いつもの掛け合いで笑えるのに、奥に少し温かさが残る。
捨てられない後輩と「物がないと忘れるならもう捨てちまえ」の先輩。
価値観が違うのに一緒にいる、この関係のアンバランスさが愛しくて苦しい。
高校時代の制服とアルバムが、静かに心を揺らした
後輩が制服姿でアルバムを持ってきて、先輩とのツーショット写真を見せる。
先輩はその記憶を覚えてなくて、「モデルで取り巻き多かった」「学校の憧れ」だったらしい過去が明るく描かれる。
今は無職でゲームしてる先輩とのコントラストが切なくて、でも後輩の憧れは変わらずそこにあった。
「今の先輩とは大違い」と笑いながらも、その声が優しいのが刺さる。
2人の距離が遠かった頃の写真と、今の近さ。
それが同じページに並んだみたいな感覚だった。
楽しいはずの帰り道、そのあと先輩がいなくなる衝撃
掃除を終えて帰ってきて、後輩が仮眠しようとしたとき。
先輩がそっと「ひとりエスケープしてくる」と言って消える。
次に目覚めたら、もういない。
あんなに一緒に逃げてきたのに、先輩だけ別の方向へ逃げた気がして息が止まる。
数日経っても帰らず、後輩は黙って描き続ける。
家が静かすぎて、いつもの声がないだけで世界が薄くなるのが見てて苦しかった。
ラジオで名前を聞いて、後輩の胸に波が戻る
推し声優・伊集院あかり(田村真佑さん)のラジオでメッセージが読まれ、先輩の影がふっと蘇る。
「養ってあげますよ」って笑っていた相手がいなくて、喋れない空白が大きすぎる。
AL「さよならジージョ」が流れる中、視線が遠くへ向かっていく後輩の表情が美しかった。
ふたりで逃げるのが当たり前だったのに、急にひとりになってしまうその温度差。
視聴者の「胸がぎゅっとなる」「切ない」の声がそのまま夜の余韻になった。
まとめ
第8話は、現実逃避ドラマの中でいちばん現実が痛かった。
先輩(岩本蓮加さん)と後輩(冨里奈央さん)の過去が少し溶けて見えて、制服姿の無邪気な距離と、今の距離が重なる。
同じ部屋にいたはずなのに、先輩は先に消えてしまって、残った後輩の部屋にだけ時間が流れ続ける。
笑って逃げたふたりの世界にひびが入る音を聞いた回だった。
次は、もう一度“ふたり”に戻れるのかがこわくも楽しみ。
(こうちゃん)

