良いこと悪いこと 第4話 感想文(ネタバレがあります)― 友よ、なぜ君は“助けてくれ”と言わなかったのか

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親友が襲われて、事態は“偶然”を超えた恐怖へ

第4話を観てまず強く感じたのは、冒頭のセリフ「もうこれは絶対に偶然じゃない」がまさに的を射ていたということ。主人公・高木将(間宮祥太朗)と猿橋園子(新木優子)が疑念を深める中で、ついに親友・小山隆弘(森本慎太郎)が事件に巻き込まれ、「遊びだった替え歌」が“順番に襲われる連続殺人”だと視聴者にも鮮明になりました。

良かったこと

友情が揺らぐ瞬間の描写

親友だったはずの小山が被害対象になり、昔のノリを共有していた高木との間に「信じていいのか」「疑わなければいけないのか」という緊張が生まれます。小山の「僕なんて、なんの価値もないから…」「友達なんかじゃない」という言葉は、ただの脅迫ではなく、深い孤独と罪悪感を映しており、今までの被害者たちとは違った痛みが胸に刺さりました。
この“被害者が親友”という構図により、物語の重みがぐっと増したと思います。

被害者の「自分も悪かった」という告白の衝撃

ターゲットになった羽立太輔(森優作)は、過去にみんなで遊んだ仲間でありながら、自らを責め「僕たちがイジメてたんだから仕方ない」と口にします。この瞬間、加害側・被害側という二項対立では片づけられない“過去の共犯性”や“記憶のズレ”のテーマが一気に浮かび上がります。
ドラマとして、単なるミステリーから一歩深い、人間ドラマとしての奥行きが見えた回でした。

気になった・もう少し欲しかった部分

羽立の心理描写と「なぜその時ああなったか」の掘り下げ

羽立がひきこもり状態になっていた経緯や、22年の間に何があったのかという背景がまだ断片的です。「父と母を失った」「今は独りぼっち」という情報は出ましたが、彼が“襲われる覚悟”を持っていたようなセリフには、もう少し重なった過去の描写が欲しかったなと思います。
たとえば、幼少期の具体的なエピソードや、いじめられた日々・孤立した時間などがもう少し映像化されていれば、羽立の「友達なんかじゃない」の拒絶がもっと響いたのではないでしょうか。

次のターゲット=“ちょんまげ(羽立)”という予告めいた構図

「恐らく5人目はちょんまげ(羽立太輔)」という予告めいた見立ては、視聴者としての推理を刺激する反面、サスペンスとしての“ハラハラ感”を少し削ってしまったように感じました。もちろん予想が当たっていくのもこのドラマの醍醐味ですが、次に何が起こるか“完全には分からない”という感覚も同時に欲しかったなと感じます。

感想まとめ

第4話では、「同級生だった仲間」が加害者/被害者/傍観者のどの立場にもなり得るという物語の核心が改めて浮き上がりました。高木が信じてきた友情、小山が背負ってきた過去、羽立の自責と絶望――それぞれが交錯することで、事件を追うという行為が、ただの捜査ではなく“過去の清算”であることが強調されました。
私自身、「自分も悪かったから殺されても仕方ない」と語った羽立の言葉に、胸が苦しくなりました。なぜなら、それは事件の“被害”というよりも、いじめという“構造”的な罪”を盾にしてしまっているように見えたからです。

今後への期待と考察

次回以降、私が注目したいポイントは以下です。

– 羽立太輔が実際に狙われるのか、それとも“予告”を利用した逆展開になるのか。
– 高木と園子の関係が、列挙された6人という共通の“記憶”をめぐってどう変化していくか。
– 小山隆弘の“22年の空白”がどこまで真実に迫るのか。そして彼の帰国・行動の意味が明らかになるのか。
– いじめられた側/いじめた側という過去の役割が、今の6人の中でどのように変化しているのか。誰が“被害者”なのか、誰が“加害者”なのか、その境目がぼやけていく展開に期待しています。

このドラマは「誰もが加害者にも被害者にもなりうる」ことを描いています。第4話は、そのメッセージが最も鮮明に出た回だったと感じました。今後どう、それぞれが“罪”と向き合っていくのか、見逃せません。
(あいちゃん)

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