地獄は善意で出来ている|第1話から不穏すぎる展開…“更生プログラム”の裏が怖い(感想)(ネタバレがあります)

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1話、最初の10分で心がざわついた。
高村樹(草川拓弥くん)の目の奥がずっと静かで、でも何か壊れそうな空気をまとってる。
「更生プログラム」って言葉が優しい響きなのに、聞けば聞くほどトラップみたい。
他の参加者たちの笑顔も全部“仮面”に見えてくる。
そして最後のあのシーン、思考が一瞬止まった。
静かな恐怖が画面から滲んで、ただ息を飲むしかなかった。

草川拓弥くん演じる高村樹の“何も信じない”目

傷害罪で服役していた過去を背負う樹(草川拓弥くん)。
彼の歩き方、声の抑え方、全部が「もう人に期待しない」って言ってるみたいだった。
最初は無口で周囲を拒んでるように見えるけど、その裏にある“後悔の重さ”が滲む。
特に、他のメンバーが少しずつ打ち解けていく中で、彼だけが距離を保つ姿。
目線を合わせるのが怖い人間が、何かを守るためにあえて冷たくしてる感じが痛い。
草川くん、表情の温度差だけで物語を引っ張ってて、初回から主演力の強さが際立ってた。

“更生プログラム”の優しさが逆にこわい

カトウ(細田善彦さん)が語る「人生をやり直すチャンスです」の一言。
その声のやわらかさが逆に鳥肌もの。
施設の白い壁も、笑顔のスタッフも、全部“信じさせるための装飾”に見える。
6人が共同生活を始める流れは一見リアリティショーみたいなのに、空気はどんどん密閉されていく。
“自由にしていい”と言われながら、どこにも出口がない。
此元和津也脚本っぽい心理の追い詰め方に、もう逃げ道がなかった。

元受刑者たちの“罪の跡”と新しい関係のひび

元薬物犯の小森(高野洸くん)、美人局の夢愛(井頭愛海ちゃん)、横領の理子(渡邉美穂ちゃん)、闇バイトの翔太(吉田健悟くん)、ジムトレーナーだった統晴(佐伯大地さん)。
誰もが違う罪を抱え、違う形で償おうとしてる。
でも、集団になった瞬間に罪が再び混ざり合っていく感じがリアル。
「人は過去を越えられるのか」っていう問いを、ずっと投げつけられてるみたい。
優しさも疑いも同居してて、協力しながらも心の中で誰かを見張ってる。
更生よりも“選別”の空気が漂うのが、このドラマの怖さだと思う。

カトウ(細田善彦さん)の存在が一番読めない

全員が少しずつ動揺していく中、カトウだけが最初から何も変わらない。
目の動きがゆっくりで、口元の笑いが“理解してる側”のそれ。
樹に声をかける時のトーンが妙に優しくて、まるで捕食者の手招き。
統晴(佐伯大地さん)の最後の映像にカトウがいた瞬間、鳥肌が立った。
支援者なのか支配者なのか分からない。
「善意」と「悪意」の境界線をわざと曖昧にしてくる感じ、絶妙だった。

ラスト5分の衝撃、静寂の中の地獄

統晴が行方不明になったあと、水辺で見つかる遺体。
目を覆いたくなるのに、画面から目が離せない。
両目の火傷というビジュアルが、まるで「真実を見るな」と言ってるようで怖すぎた。
その場に立ち尽くす樹の表情、涙よりも乾いた絶望。
“地獄は善意で出来ている”というタイトルが一瞬で意味を持った。
この世界の善意が、どれだけ人を追い詰めるのか。
初回から覚悟を問われるような終わり方だった。

まとめ

1話は、ただのサスペンスじゃなくて「人の心の再犯」を描いた感じ。
高村樹(草川拓弥くん)の無言の叫び、カトウ(細田善彦さん)の微笑、そして統晴(佐伯大地さん)の悲劇。
全部がきれいに噛み合って、怖さと悲しさを同時に残す。
更生って何? 信じるってどこまで許される?
そんな問いを突きつけられながら、次の回を見ずにはいられなくなった。
“善意”という言葉が、今夜から少し怖く聞こえる。
(さくらん)