『ひと夏の共犯者』第4話、崩れていく絆と深まる闇(感想)(ネタバレがあります)

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第4話は、愛と狂気の境界線が完全に溶けた回だった。
巧巳(橋本将生さん)が“推し”を守るために追い詰められていく姿が、あまりにも痛々しくて切ない。
澪(恒松祐里さん)と眞希という二つの人格。
その間で揺れながらも「共犯」になるしかないという選択。
もはや恋愛でもなく、信仰に近い愛の形が描かれていた。

「モナを殺せる?」――究極の問いが突きつけられる

眞希(恒松祐里さん)が放った「モナを殺せる?」の一言。
このセリフの破壊力がすごかった。
幼なじみ・モナ(石川瑠華さん)との思い出が次々にフラッシュバックする巧巳(橋本将生さん)の表情が、
“優しさ”から“覚悟”へと変わっていく。
守りたい気持ちと、壊してしまうかもしれない恐怖。
その狭間で揺れる青年の心の描写がリアルすぎて胸が締めつけられた。
橋本さんの繊細な演技が光ったシーンだった。

澪と眞希――恒松祐里さんの圧巻の二面性

澪と眞希、同じ顔なのにまるで別人。
恒松祐里さんのスイッチが入る瞬間、空気の温度が変わる。
瞳の焦点、声のトーン、仕草の速さ。
澪のときは守りたくなる儚さ、眞希のときは支配的な強さ。
人格が入れ替わる瞬間の“静けさ”が本当に怖い。
「変わった瞬間が分かる」とSNSで絶賛されていたのも納得。
一人二役の妙というより、“二人の生きた人間”を見ているようだった。

刑事パートが加速――塔堂(萩原聖人さん)と三宅(柾木玲弥さん)

刑事たちの動きも一気にスリリングになってきた。
特に三宅(柾木玲弥さん)が愛衣那(永瀬莉子さん)推しという意外な設定。
それを知った愛衣那が「何かをたくらむ」流れがゾクッとした。
事件の捜査線上で、推しと推される関係がねじれていく構図が面白い。
愛衣那は敵か味方か、まだ読めない。
“計算高さ”と“優しさ”が紙一重で、今後のキーパーソンになりそう。

複雑に絡み合う人間関係と不穏な影

AMELのメンバー、刑事たち、巧巳、そして澪/眞希。
それぞれの思惑が交錯して、まるでパズルのピースが少しずつズレていくような緊張感がある。
沙嶋の家を訪ねた“ある人物”の正体も含めて、
物語が一段と闇の中へ進んでいく感じがたまらない。
「本格的に警察が絡んできた」「犯人が分からなくなってきた」というSNSの反応どおり、
物語のスリルが倍増した回だった。

「共犯」とは何か――タイトルの意味が見えてきた

第4話を経て、「ひと夏の共犯者」というタイトルの重みが増した。
共犯とは、ただ罪を分け合うことじゃない。
“真実を知りながら、沈黙を選ぶこと”でもある。
巧巳はもう後戻りできない場所に立っている。
澪(=眞希)を守るために嘘を重ね、罪を重ね、愛を深めていく。
その歪さが美しくて、怖い。

まとめ

第4話は、巧巳(橋本将生さん)の心が完全に“共犯者”へと堕ちていく過程を描いた濃密な回。
恒松祐里さんの二面性の演技は圧巻で、視聴者を完全に翻弄した。
刑事たちとAMELの動きも加速し、ストーリーは一気にサスペンス色が強まる。
「推しを守る」という純粋な愛が、いつの間にか“狂気”に変わっていく――
その過程を、橋本さんが静かに体現している。
闇に落ちるほど、目が離せない。
(りりたん)