突然の別れと二人の“当たり前”の崩壊
第6話では、ミナト(青木柚)から「結婚願望がない」と突然別れを告げられた鮎美(夏帆)が、誰にも言わず一人暮らしをスタートさせる場面から物語が動き出します。
しかし、気づけば「2人分の食事を作ってしまう」など、無意識のうちに“当たり前”だった関係性を引きずっている鮎美の姿が切なく、彼女が本当に向き合うべき「自分自身」と「料理」が浮き彫りになりました。
一方、勝男(竹内涼真)は、鮎美との別れを父・勝(菅原大吉)に言えず、心のどこかで後ろめたさを抱えています。それでも、彼は料理の腕をめきめき上げ、「鶏がらスープから始める」という意欲的な変化を見せ始める。料理を通して“男”としての自分を見直そうとする姿が印象的でした。
良かったこと
料理を通じた成長と変化の描写
勝男がホームパーティー用に小籠包を持参するという展開では、「料理=デートの道具」ではなく「料理=自分表現/誠意の手段」というステップへ少しずつ移行しているのを感じました。パーティーという緩やかな舞台で、勝男の手作り料理がどう受け止められるかという“挑戦”が見えて、このドラマがただのラブコメではなく“成長物語”であることが改めて浮かびました。
また、鮎美も婚活パーティーに参加し、「誰かに選ばれたい自分」と「自分をもう許したくない自分」の狭間で揺れる姿が丁寧に描かれており、視聴者として共感しやすかったです。
価値観のズレと“当たり前”の再考がテーマに
「結婚願望」「同棲」「料理が女性の仕事」というこれまでの“当たり前”が揺らぐ中で、二人それぞれが見直すべき価値観を抱えているという構図が明確になりました。鮎美にとって料理は“恋人への奉仕”だったけれど、それだけでは自分を保てなくなった。勝男にとっては料理は“女性が作るもの”と思っていたけれど、自ら鶏がらスープを作ることでその前提を壊し始める。こうした内面の変化が深く描かれていた点が、この回の魅力だと思います。
気になった・もう少し欲しかった部分
パーティーシーンのリアリティと受け止め方
勝男の小籠包がホームパーティーでどう受け止められたか、受け手の反応や勝男自身の内心がもう少しじっくり描かれていれば、彼の成長の軌跡がさらにリアルに感じられたと思います。今のところ“持参した”という事実が印象的ですが、それがどう勝男自身の価値観を変えたのか、その“変化の振れ幅”がやや見えづらかったです。
鮎美の婚活参加の動機と葛藤をもう少し掘ってほしい
婚活パーティーに参加した鮎美の「誰かに選ばれたい」という気持ちと、「自分で選びたい/自分で立ち直りたい」という気持ちとの葛藤が描かれていましたが、その内面の揺れ動きが少し浅く感じました。彼女が“向かいたい”先のビジョンや、料理との関係性の変化がもう少し明確になると、視聴者としてより深く感情移入できたと思います。
感想まとめ
第6話は、“別れ”という大きな転機を迎えた二人が、それぞれの“料理”を通じて自分を見つめ直し始める回だったと思います。
鮎美は、“作る人”から“作らされる人”、そして“料理を通じて自分を取り戻す人”へと少しずつシフトしていこうとし、勝男は、“料理は女性のもの”という固定観念を破り、料理を自分の武器/誠意として扱い始めます。
この2人が同じ時間軸で“異なる方向”を見ているようで、またどこかで交差しようとしている……その距離感と期待感が、この回の最大の見どころでした。
今後への期待と考察
次回以降、特に注目したいのは:
– 勝男が料理を通じてどんな“宣言”をするのか?ただ手料理を持参するだけでなく、その意味を鮎美や周囲に示せるか。
– 鮎美が婚活パーティーを通じて“誰かに選ばれる側”から“自分を選ぶ側”へと変化できるのか?
– 二人が再び「料理」を媒介に交わる瞬間が訪れるなら、それは“再出発”のサインとなるのか?
– そして“料理”というテーマが、恋愛/別れ/成長という物語の中でどこまで機能するのか?その深まりが楽しみです。
このドラマは、日常の“当たり前”を問い直しながら、料理という具体的な行為を通じて人が成長していく物語でもあります。第6話は、それをより意識させる、重要な回だったと感じました。
(あいちゃん)
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