第3話のあらすじ振り返り
ママの上杉まりえ(宮崎美子)が切り盛りするスナック“ベルサイユ”では、人生最後に会いたい人に会える“魔法のワイン”が一杯だけ提供されます。
この第3話では、来店したのは規律を厳格に重んじ“嫌われ教師”の片桐舞耶(ふせえり)。彼女は店で働く新藤美来(杏花)の恩師で、苦い過去がありました。
さらに、将棋界のレジェンド・二宮善幸(西岡德馬)がそのワインを飲むと、目の前にかつてのライバルが現れ…という展開も描かれました。
また一方で、働きはじめた神代大輝(杢代和人)が、以前一緒に闇バイトをしていた男と偶然再会し、「海外へ逃げよう」という誘いを受ける…というサブプロットも。
教師として生徒に向き合ってきた片桐が表に見せなかった乙女の一面を最期に見せること、棋士二宮とライバルの再会、そして大輝の闇の過去と向き合うきっかけ――それぞれが交差して印象深い回でした。
良かったポイント
まず、片桐舞耶という“厳しい教師”のキャラが非常に立っていて、「なぜそこまで厳しかったのか」「その裏にあった想いとは何か」が少しずつ見えてきたのが良かったです。
特に、美来がその恩師だったという設定が、二人の距離感をドラマとして豊かにしていて、「教師と生徒」というだけで終わらない物語の厚みを感じました。
また、棋士二宮のエピソードも“ライバルと最後に向き合う”という王道ながらも心に残る展開で、玉子チャーハンという小物演出も効果的でした。
さらには、大輝の「逃げるか、踏ん張るか」という葛藤が顔を出し始めたことで、ドラマの主軸である“介護スナック”という設定以外にも、主人公クラスの物語が深まってきたのも好印象です。
舞台が“魔法ワイン”というファンタジー的装置を持っていながら、エピソードごとに「人生」「思い残し」「和解」といったリアルなテーマを丁寧に描いているのも、この作品の強みだと思います。
気になった/惜しいと思ったところ
一方で、教師・片桐の過去の掘り下げがもう少し丁寧だったら、感情の動きにもっと出力があったかなと思いました。厳しい教師像から乙女の顔が出るというギャップは面白いですが、「なぜ厳しかったのか」「何が彼女を変えたのか」という説明が若干足りない印象がありました。
また、棋士エピソードと大輝の闇バイトエピソードが同時並行で動いていたため、少し構成が散漫になった感があり、主軸がどこか分かりにくく感じる瞬間もありました。
ファンタジー装置の“魔法のワイン”という設定がかなり強烈なので、そのリアリティとテーマの重み(介護・人生最期・和解)とのバランスがもう少し緩やかなら、より入り込めたかも、と思います。
次回予想&期待すること
次回は、大輝が「逃げるか、向き合うか」という決断を下す展開が強く予想されます。彼の過去がさらに掘られることで、ベルサイユで働く理由も明らかになりそうです。
また、片桐舞耶と美来の関係性がどう変化するかも注目したいです。恩師と元生徒、そして“魔法ワイン”というきっかけによってどんな再構築がされるのか。
さらに、スナックの常連たち・スタッフたちの背景も少しずつ明かされてるので、「介護」というテーマだけでなく「人生の終わりをどう迎えるか」「誰かに会いたいという願い」が、より深く描かれると期待しています。
(あいちゃん)

