君としたキスはいつまでも 第3話 感想文(ネタバレがあります)― “卒業生”としての自分と、“会いたい人”としての私

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ひとりから始まる出会いの夜

第3話では、30歳を目前に長年付き合った彼氏に振られた 小島藤子 演じる沙由里が、かつて通った小学校の敷地に建てられたホテルへ“卒業生”として一人で訪れる姿が印象的でした。転校してきてわずか1年しかその学校にいなかったという彼女は、「仲良し」になれなかった過去を抱えており、遊園地で母親とはぐれた子どもを抱きかかえるという思いがけない場面から、その“居場所なさ”が浮かび上がります。
そこで出会ったカメラマン・ 渡部秀 演じる新田が、彼女に「同世代」であることを知り、湖畔を散策し、夜のホテルデッキで語り合う流れは、傷ついた沙由里にとって静かな救いとなっていたように感じました。

良かったこと

“少しずつ歩く”出会いの描写が自然

沙由里が一人でランチをとり、隣に偶然新田が座るという展開が軽やかながらも温かく、「ひとりでもいいと思っていたけど、誰かがそばにいてくれるってこういうことなのかもしれない」と見る側に思わせてくれました。
また、湖畔の風景やホテルという非日常の場が、沙由里の沈んだ気持ちを映す鏡となっていて、“過去の記憶”と“今の私”という対比がきれいに描かれていました。

“居場所”と“共有”のテーマが刺さる

「私はここにいていいのかな」「誰かといられるかな」という問いを沙由里は抱えていて、新田との会話や散策を通じて、その答えを探していくように見えました。特に「同世代」という共通点がふと出ることで、遠慮や壁が少しだけ下がる瞬間が、見ていてジーンと来ました。

気になった・もう少し欲しかった部分

過去の転校・人間関係の描写がもう少し掘れていれば

沙由里が「6年生のときに転校してきて小学校では1年しか…」という背景は提示されていましたが、「なぜ仲良くなれなかったのか」「転校後どう過ごしたのか」という部分がぼんやりしていたため、彼女の居場所なさが少し平面的に感じられたように思います。もう少しその“背景”が見えていれば、今の沙由里の心境がさらに深く理解できたかもしれません。

新田側の事情やペース感が少し控えめ

新田がホテルで写真撮影の仕事をしていて、偶然沙由里と出会うという流れはとても自然なのですが、「なぜ彼がそのタイミングでそこにいたのか」「仕事としてだけでなく、彼自身にどんな事情があるのか」が薄めだったので、後半の語り合いのシーンが少しだけ“きっかけ”として軽く感じてしまいました。

感想まとめ

第3話は、「ひとり」で訪れた場所で「ふたり」になれるかもしれないという、小さくて確かな希望を描いた回だったと思います。沙由里の苦しさや戸惑いが、決して重すぎず、だけど見逃せないものとして丁寧に映されていて、新田との出会いが“救い”になるかもしれないという空気を感じさせてくれました。
「卒業生」という肩書が付いていても、どこか居場所を失っていた沙由里が、自分を少しでも肯定できる瞬間を探している。そんな姿が胸に残りました。

今後への期待と考察

次回以降、私が注目したいところは以下です:
– 沙由里が新田との関係をどう選ぶか。偶然の出会いが“居場所”になるのか、それともまた離れていくのか。
– 新田自身の背景が明かされるかどうか。同世代という共通項だけでなく、彼の内面にも少し踏み込んでほしいです。
– ホテルという場所、湖畔の風景、小学校だった建物という“記憶の場”が、今後どのように二人の関係や沙由里の変化を映し出すか。
– 沙由里が「居場所なさ」を越えて「居場所をつくる」選択をする瞬間が来るのか。そのときに“キス”という象徴がどんな意味を帯びるのか、注目です。

このドラマは、決してドラマティックな出会いや派手な展開ではなく、静かに「誰かといる」ことの価値を描いていて、第3話はその静けさの中に確かな温もりを感じさせてくれました。次回も、その“ふたり”の行方をそっと見守りたいと思います。
(あいちゃん)

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