君としたキスはいつまでも 第4話 感想文(ネタバレがあります)― “あのキス”が運命の分岐点となった、静かな湖畔の夜に…

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青春の出会いと、結婚それからの距離

15年前の廃校前の小学校。交番勤務の警察官・北村智行(猪塚健太)は、防犯訓練での訪問先で、保健室の先生・晴美(藤谷理子)と出会いました。子どもたちを守りたいという共通の想いが、自然とふたりを近づけ、やがて結婚へと至ります。
それから時が流れ、湖畔にリノベーションされたホテルのプレオープン日。智行がひとりでフロントに立つその日、晴美の姿はありません。そして訪れた卒業生・美弥(清田みくり)との会話を通して、智行は“あの時のキス”を思い出すのです。
この物語は、「運命の出会い」だけでは終わらない、日常の中にひそむ“すれ違い”と“記憶”を丁寧に描いていました。

良かったこと

静かな演出の中に漂う余韻の深さ

廃校前の小学校という場所設定が象徴的でした。かつて子どもたちがいた校舎で、今はホテルとして過ごす大人の時間。出会いと結婚、そして別れまたは距離。その変化を、場所の“変貌”と重ねて描いていたのがとても印象的でした。
特に、晴美の不在を智行が感じるシーン。彼がホテルの隅々を探し、思い出の場所を辿るその行動が、言葉以上に“失ったもの”を語っていて、観ていて胸が締め付けられました。

“最期のキス”という象徴が胸を打つ

卒業生・美弥が語る、かつての保健室の記憶。そのリアルな思い出話を聞くことで、智行の中にあった晴美との時間が鮮やかによみがえります。「最期に交わしたキス」という言葉がラストに持ってこられたことで、この物語が“終わり”ではなく“新たな始まり”を孕んでいるように感じられました。
キスそれ自体は一瞬の行為かもしれませんが、このドラマではそれが“人生を振り返る契機”になっていて、大人向けのラブストーリーとしての奥深さを感じました。

気になった・もう少し欲しかった部分

晴美の立ち位置・不在の理由にもう少し余白が欲しかった

物語の中心となる晴美ですが、彼女がなぜその日に現れなかったのか、その理由や状況の描写がもう少しあれば、観る側として“彼女の心境”もより共感できたと思います。智行が探し回るほどに“遠く”なってしまった理由が、少しだけぼんやりしていた印象があります。

出会いから結婚、現在に至る時間の流れが淡い分、変化の重みがもう少し欲しかった

出会い→結婚→現在、という時間の枠組みは提示されていましたが、それぞれの段階におけるふたりの感情の変遷(例えば、信頼が揺らぐ瞬間、すれ違う小さな出来事)がもう少し描かれていれば、「なぜ今こうなっているのか」の説得力が増したと思います。

感想まとめ

第4話は、静かでありながらも強く心を揺さぶる回でした。運命の出会いから始まったふたりの物語が、時を経て“あのキス”という象徴的な行為を通じて再び呼び起こされる。
特に、「守ること」「見守ること」「記憶に残ること」というテーマが、巧みに重ねられており、単なるラブストーリーではなく“大人のための愛の形”として深みを持っていました。
智行の「ここにいる」という現在の選択と、晴美の“そこにいない”という現状。そのギャップが、観る側に“過去との決別”と“未来への選択”を問いかけてきました。

今後への期待と考察

次回以降、注目したいのは「晴美がなぜそこで消えたのか」「美弥が保健室で見たもの/感じたもの」がどうふたりの関係に影を落とすのか、という点です。
また、湖畔のホテルという舞台が、ふたりにとっての“もう一つの学校”/“もう一つの出会いの場”として機能していくかどうかも興味深いです。
このドラマは、単に“キス”を描くだけではなく、「そのキスが意味した時間」「そのキスが変えた人生」をじっくりと紡いでいく物語だと思います。第4話は、その核心に触れた非常に印象的な一話だったと感じました。
(あいちゃん)