第3話、笑っていたはずなのに最後は拍手したくなるほど熱かった。
トニー安藤(市原隼人さん)があの小声から“覚醒”した瞬間、全員が一気に空気を飲み込んだ感じ。
久部三成(菅田将暉さん)の空回り気味な情熱がようやく誰かに届いたような、そんな奇跡の時間だった。
三谷幸喜さんの脚本、やっぱり人の成長の瞬間を切り取るのがうますぎる。
久部(菅田将暉さん)、混乱の中で見えた“演劇の原点”
経営難のストリップ劇場でシェイクスピアをやる、ってだけでカオスなのに、
ダンサーやスタッフたちは誰も芝居経験なし。
それでも久部(菅田将暉さん)は「夏の夜の夢」を上演しようと必死。
「せりふがつまらない」と文句を言うモネ(秋元才加さん)に「理解しなくていい!」と叫ぶシーン。
このセリフ、久部自身へのブーメランでもある。
“理解”より“衝動”で作りたい人間が、理屈でぶつかってる。
その矛盾に悩む姿がリアルで、観てて胸が締めつけられた。
リカ(二階堂ふみさん)の言葉が刺さる
リカ(二階堂ふみさん)は「ここに芝居を愛してる人間なんていない」と突き放す。
久部(菅田将暉さん)が劇を“復讐”の道具みたいに使っているのを、全部見抜いてる。
冷たく見えて、実は誰より久部の夢を信じてるのが伝わる。
リカのまなざし、優しいんじゃなくて“鋭い”。
二階堂さんの一言一言に体温がこもってて、静かな説得力があった。
恋愛とかじゃなく“生き方の対話”になってるのが、このドラマの面白さ。
トニー安藤(市原隼人さん)、静かな男が放つ衝撃
声が小さくて、演技もぎこちない。
そんなトニー(市原隼人さん)が、黒崎(小澤雄太さん)率いる劇団に乗り込んだとき、空気が変わった。
黒崎が挑発してきた“ライサンダー対決”。
最初は逃げるように断った久部(菅田将暉さん)の代わりに、トニーが前に出る。
完璧なせりふ、張り詰めた表情、抑えた声。
それが逆に響く。
黒崎たちが言葉を失った瞬間、「続けるか?」の一言が、もう鳥肌モノ。
市原隼人さんの静かな爆発力、まさに舞台の魔法だった。
彗星フォルモン(西村瑞樹さん)の“役を生きる”瞬間
お笑い芸人の彗星フォルモン(西村瑞樹さん)も、地味に覚醒組。
妖精の王オーベロン役として、ダンサーのパトラ鈴木(アンミカさん)に蹴られる場面でキレる。
でも、久部と蓬莱(神木隆之介さん)に説得され、
相方の王子はるお(大水洋介さん)と持ちネタを逆にしてみたことで、芝居の“自由”を掴む。
その後の稽古では、蹴られることを笑いに変えた。
芸人としてのプライドと役者としての表現が交差する瞬間が、めちゃくちゃ良かった。
この作品、全員が“覚醒”していく過程をちゃんと描いてるのがすごい。
「芝居は生き物」――久部の熱が伝染していく
久部(菅田将暉さん)の芝居づくりは不器用そのもの。
でも、不器用だからこそ人を動かしてる。
最初はバラバラだったチームが、少しずつ“舞台”という言葉の意味を理解し始めてる。
トニーの芝居、彗星フォルモンの変化、そしてリカの一言。
全部が久部の夢を少しずつ現実にしていく。
「やろうと思ったことは、思ったときにやるべきだ」――
この言葉が第3話でようやく生きた。
まとめ
第3話は、“人が変わる瞬間”を描いた名回だった。
トニー安藤(市原隼人さん)の覚醒シーンは、静かな感動の爆発。
久部(三成/菅田将暉さん)の情熱が、やっと誰かに届いた気がした。
三谷幸喜さんらしい軽妙な笑いの中に、夢を信じる痛みと希望が共存してた。
次に覚醒するのは誰なのか――。
このドラマ、まだまだ進化しそう。
(ゆめのん)