復讐か正義か――問いが深まる一話
第6話は、レイコ(水野美紀 / ⿑藤京⼦)の復讐劇が一気に加速し、物語全体の倫理的重心がより明確になった回でした。成瀬(白岩瑠姫)の調べで、新堂幹久(竹財輝之助)という“権力者”の影が浮かび上がり、健司(津田寛治)に罪を着せた巨大な仕組みが明らかになっていきます。
レイコの怒りは合理的な捜査欲ではなく、奪われた“家族”への深い悲しみと怒りに根ざしており、その感情が物語を切迫させる大きな推進力になっています。
良かったこと
感情のベクトルがぶれずに描かれている
レイコの復讐心、沙織(新川優愛)の不安と疑念、成瀬の冷静な調査の三者がそれぞれの視点を保ちながら交差する構成がよく機能していました。特に、レイコが「新堂家こそが全ての元凶だ」と確信して動く場面は、観る側の感情も巻き込む説得力がありました。
権力と闇の描写が緊張感を生む
国会議員という存在が、捜査をねじ曲げ、ある人物に罪を着せるほどの影響力を持つという設定が、単なる個人的怨恨では終わらせず社会的な問題提起になっていました。健司の無実を暴くためにレイコが新堂邸のパーティーに潜入するという展開は、スリルがありつつも“権力との一線”を試す重要な場面です。
気になった・もう少し欲しかった部分
復讐と法の境界の描写をもう一歩深めてほしい
「娘を奪われた親の復讐」という強烈な動機は共感を呼びますが、同時に「復讐が正義か?」という倫理的問いへの描き込みがまだ単純な二元論に留まる瞬間がありました。視聴者に「なぜ法を超えて行動してはいけないのか」「復讐がもたらすものとは?」をより深く考えさせる仕掛けがあると、ドラマの重みが増したはずです。
沙織の内面変化の描写をもう少し丁寧に
沙織が次第に疑念を抱き、レイコに関心を寄せる描写は効果的ですが、彼女が何を恐れ、何に引かれているのか、その揺れがやや説明不足に感じられました。彼女の心の変遷がもう少し丁寧だと、レイコとの対峙がさらにドラマチックになったでしょう。
感想まとめ
第6話は、個人の復讐心と社会的権力の衝突を鮮烈に描いた回でした。健司の無実が明らかになりつつある今、真の敵は“個人”ではなく“体制”や“権力のネットワーク”であることが色濃く示され、物語は個人的悲劇から社会的告発へと舵を切り始めています。レイコの行動は感情的である一方、彼女の周到さと覚悟が観る者に緊張を与えます。
今後への期待と考察
次回以降、注目したいポイントは以下です。
- レイコは復讐を遂げた後、どのように自分と向き合うのか――果たして“やりきった”先に救いはあるのか。
- 新堂幹久ら権力者の“隠蔽の仕組み”はどの程度まで広がっているのか。単独犯か、より大きな組織か。
- 沙織のポジションは「加害側の家族」としての葛藤か、「真実を知る者」としての転換か。彼女の選択が物語の分かれ道になりそうです。
- 成瀬ら捜査側が法の手続きをどう維持しつつ真実に迫るか――正攻法の勝算はあるのか。
「娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?」は、単純な復讐劇ではなく、家庭の崩壊と権力の腐敗を通して“正義とは何か”を問いかけるドラマです。第6話はその問いをさらに鋭くし、視聴者に重い選択を突きつける重要な一話だったと思います。次回も緊張感と倫理的ジレンマの行方を見届けたいです。
(あいちゃん)
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