最終日の自由時間で生まれた“仲良し”の端緒
修学旅行最終日。主人公・日置(藤本洸大)は、いわゆる“4天王”と称される渡会(簡秀吉)ら人気グループに自然と加わり、観光地で食べ歩きやおみくじで盛り上がるという、まるで「自分はもう違う世界にいる」かのような時間を過ごします。しかしその瞬間、彼の目に映ったのは――中学時代に仲の良かった池ヶ谷杏那(岩波詩織)でした。
その出会いが、日置の中にあった“変わった自分”と“変わらない自分”のギャップを浮き彫りにします。
良かったこと
“輪に入る”ということの不安と安心を同時に描いた構成
日置が人気グループに加わることで生まれた“居場所”のような安心感と、同時に芽生える“嘘っぽさ”や“違和感”。その二面性が丁寧に描かれていました。例えば、滅多に一緒にいなかったメンバーたちと、気軽に食べ歩きを楽しむ日置の姿は輝いて見えながらも、そこに「本当に自分はこの場にふさわしいのか?」という視線がちらついていたように感じます。
また、杏那との再会によって、日置が“昔の自分”を思い出し、今の自分とのギャップに戸惑うシーンも印象的でした。
嫉妬・友情・好意が入り混じる、複雑な“群れ”の中
渡会たち4人が「何してんの」と日置を呼びに来る場面、そして杏那に声をかけられる日置の様子を見て、不意に胸の内が波打つ渡会の描写が、小さな違和感ながら確かな「何か」の始まりを告げていました。
つまり、この“仲良しグループ”という枠組みの中で、友情だけでは済まされない感情が少しずつ顔を出していることが、ドラマとしての緊張感を生んでいました。
気になった・もう少し欲しかった部分
日置自身の“なぜグループに入ったのか”がもう少し掘り下げられていたら
日置がグループに加わった描写は自然で好印象でしたが、「自分から心底望んだのか/ただ流されただけなのか」が曖昧だったため、視聴者としては彼の居場所感に完全には入り切れなかった面もありました。彼の内的動機や不安・期待がもう少し明確なら、彼の変化がより強く響いたと思います。
杏那との再会シーンが、もう少し深く描かれていたら…
中学時代の友人・杏那との出会いはとてもエモーショナルでしたが、その前後に“なぜ彼女がそこにいたのか”“日置にとってその出会いがどう特別だったのか”という説明が少し足りない印象もありました。もう少し二人の過去を振り返る余白があると、再会の重みがさらに増したでしょう。
感想まとめ
第4話は、修学旅行という非日常の舞台で、“仲良くないグループに入ってしまった”という日置の状況が、楽しさと戸惑いの入り混じったものとして描かれており、とても魅力的でした。
「仲間になった」と感じる瞬間と、「これは本当に自分の席なのか?」と感じる瞬間が、同じ時間帯に並んでいるあの感じ――その揺れ動きが視聴していて胸に響きました。
また、「昔の自分」と「今の自分」が交差している日置の姿が、観ているこちらにも“自分の居場所”を問いかけてくるようでした。
今後への期待と考察
次に注目したいのは、渡会が日置に「ちょっと話したい」と呼び出した瞬間の意味。そして、今“輪”に入っている日置が、今後どのように自分の立場を選ぶのか。
特に、杏那との再会がきっかけで“中学時代の関係”が再燃しそうな予感もあります。「仲良しグループ」であることを演じ続けるのか、本当の自分でいられる場所を探すのか――その揺れ動きが次回以降の鍵になりそうです。
このドラマは、ただ“ハーレムラブ”や“学園モテ”ではなく、「人が群れに入るときに払う代償」「群れの中で見えなくなるもの」を描いているように思えます。第4話は、その問いがより前景に出た回だったと感じました。
(あいちゃん)

