“推し”との夜から始まる甘くて切ない揺らぎ
第5話では、愛衣(鈴木愛理)が社長であり憧れの相手である旬(八木勇征)と二人きりの夜を過ごしたことで、これまでの「ファン」「モブ」感覚から一歩踏み出した心境の変化が描かれていました。恋でも憧れでもない、その間を彷徨う愛衣の“ポーっとする日々”には、視聴者としても「自分だったらどう感じるだろう?」と共感せずにはいられなかったです。
そんな中、推し友のひかる(東雲うみ)に誘われて向かった舞台挨拶付き映画上映会。愛衣は「距離を少し引いて見ていよう」と思っていたはずなのに、最前列でオタバレのピンチに直面するという展開に…一気に“普通のファン”というステータスを越えそうな気配が漂いました。
良かったこと
“推し”と“自分”の距離を意識する瞬間の描き方
愛衣が「スターである旬」と「自分」という立ち位置を自覚する場面が、映画館のシーンを通して丁寧に描かれていました。最前列という物理的な近さと、“オタバレ”の危機という心理的な近さが掛け合わさることで、彼女の内面の揺らぎが生き生きと見えたと感じます。
また、推し友ひかるとのやりとりも、ファン特有の“距離感”や“共有感”が表れていて、アイドル/上司という存在を巡る“ファン心”と“職場での上司”という二面性が上手く交差していたと思います。
自宅訪問という“予期せぬ展開”の効果
愛衣がひょんなことから旬の自宅を訪れてしまうという展開が、ラブコメとしてのスリルを高めていました。憧れの人の住まいに踏み込むということは、プライベートに接近するということ。見ているこちらも「え、そこまで行っていいの!?」というドキドキを味わえました。
この“予期せぬ急接近”が、ラブラインの進展を暗示すると同時に、職場と個人の境界を揺らす危うさも感じさせてくれた点が良かったです。
気になった・もう少し掘ってほしかった部分
職場としての旬・社長としての旬の立ち位置がやや薄め
恋愛モードの演出に力が入っていて楽しかったのですが、旬が“上司”かつ“スター”という立場ゆえの葛藤や責任感というものが、少し控えめだった印象があります。
ファンとしての愛衣の視点が主に描かれていたため、旬側の視点、例えば「部下として、上司としての自分」「ファンに見せる自分」といった内面をもう少し見せてほしかったです。
オタバレの危機の後のフォローがもう少しあれば安心感があった
映画館で最前列という危機的状況が生まれたのは強い演出でしたが、その後愛衣がどう“ファンとして立ち直るか”という処理が若干あっさりしていたように感じました。
そのせいで「これからどうなるの?」という疑問が残り、次回への期待は高まりましたが、もう少し“安心できる心の整理”があっても良かったかなと感じました。
感想まとめ
第5話は、ファンである立場から“好きな相手が上司でもある”という複雑な感情を抱える愛衣の揺れ動きを、ラブコメらしい甘さと共に丁寧に描いていました。
憧れという言葉だけでは語れない「近づきすぎてはいけないのではないか」という恐れ、「そこまで近づいていいのか」と迷う気持ち…その揺らぎが、この作品の魅力だと改めて思いました。
また、恋愛パートとしての進展も感じられ、ラブラインがただの“憧れ”から“選択”へと移っていく予兆を感じさせる回でした。
今後への期待と考察
次回以降特に期待したいのは、愛衣が“モブ”から“特別”へと進む過程で、職場という“現実”とファンという“理想”がどう交わるかです。
また、旬の社長/スターとしての葛藤、そして「愛衣がオタバレしたらどう振る舞うか」というリアルな危機管理も見てみたいです。
私としては、愛衣が自分の気持ちを整理し、推しとしても部下としても大切にされる関係にたどり着けるかを見守りたいと思います。
第5話は、そのための大きな転換点になった、キュンと切なさが混ざった印象深い回でした。
(あいちゃん)
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