完璧なモデル、そして隠された本音
第5話を観てまず印象に残ったのは、ランウェイという晴れ舞台で、突然役割を与えられた江永(藤林泰也)が「アイ」であることを千明(長野凌大)が確信する瞬間の鮮烈さです。千明の捻挫により急遽ランウェイを歩くことになった江永。千明はその完璧な立ち姿・歩き方から、江永が自分の憧れだったモデル・アイと同一人物ではないかという思いを強めます。
コンペ終了後、千明が江永に「隠し事」「キス」について問い詰めると、江永は静かに「それでも、千明くんが欲しかった」と告げます。この言葉が2人の関係を一変させ、千明は何も言えなくなってしまうのです。その後、2人の間には“距離を置く”ような空気が生まれ、明らかに前とは違う関係になってしまっています。
良かったこと
憧れと現実のギャップの描き方
千明がアイという存在を「憧れのモデル」として抱えていたのに対し、江永という“同級生”/“友人”である存在が、実はそのアイと同一人物であった可能性が浮上する構図は、非常に胸を掴まれました。憧れが“身近な存在”に重なるという混乱、そして千明の動揺が、ランウェイでの場面を通じてリアルに伝わってきます。
また、「隠し事」「キス」というキーワードが出ることで、モデルとしての顔と、“プライベート”としての顔が交差し、ファッション業界・青春群像劇としての厚みが増しています。
「それでも、千明くんが欲しかった」という一言のインパクト
江永の言葉には、単なる好意以上の何かが感じられました。千明に対する依存かもしれない、または“アイ”という仮面/役割を越えて千明と関わりたいという願いかもしれない。言葉としてはシンプルですが、その言葉に千明が言葉を失う場面において、このドラマが描こうとしている「憧れ」「アイデンティティ」「友情以上・恋愛未満の感情」の複雑さが強く現れていたと思います。
気になった・もう少し欲しかった部分
千明の心の揺れの描写がもう少し丁寧に欲しかった
千明の視点から見ると、「憧れのアイが目の前に」「それを同級生が演じていたかもしれない」という驚きと動揺が果てしなく大きそうですが、その心の揺れがもう少し映像的・内面的に掘り下げられていれば、視聴者として彼の葛藤にさらに共感できたように思います。例えば、“なぜ自分はアイに憧れたのか”“その憧れが江永という人物に変化した瞬間”など。
2人の距離が変化した後の空気感がもう少し見たかった
江永から言葉を告げられた後、千明と江永の間に「距離を取る」空気が生まれますが、その変化の“隙間”や“気まずさ”がもう少しだけ長く描かれていたら、次回以降の関係変化がより重く感じられたかもしれません。
感想まとめ
第5話は、憧れという光と、現実という影の境界が曖昧になっていく瞬間を、美しく、そして切なく描いていた回でした。ランウェイの華やかさの裏で、「アイ」と「江永」という二重性に千明が気付き、そしてその気付きが彼の心に大きな変化をもたらします。
江永の「それでも、千明くんが欲しかった」という言葉は、単なる告白ではなく、千明への“必要性”や“依存”を示しており、視聴者としてはそれが千明にどんな影響を及ぼすのか気になって仕方ありません。
憧れ、秘密、青春、そしてアイデンティティ。すべてが少しずつ混ざり合う中で、2人の関係は“これまで”とは違うフェーズへと進んでいく――そんな予感を強く抱いたエピソードでした。
今後への期待と考察
これから特に注目したいのは以下の点です:
– 江永/アイという存在が“なぜ”千明を必要としたのか。そこにはどんな過去や事情があるのか?
– 千明はこの言葉を受けて“憧れ”としてのアイをどう扱っていくのか、あるいは“同級生”としての江永とどう向き合っていくのか。
– 2人が距離を取り始めた後、関係がどう再構築されていくのか。友情?恋?それとも別の形?
– ランウェイ・コンペという舞台がこの物語においてどんな意味を持っているのか。ファッションと青春というテーマがどのように融合していくのか。
この作品は、ただ「憧れのモデルに近づく」だけではなく、「その憧れの裏側にある人間らしさ」「仮面の向こう側」を描いていると思います。第5話は、その核心に一歩踏み込んだ、非常に印象的な回だったと感じました。
(あいちゃん)
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