華々しい実業家インタビューの背後にうごめく“何か”
第6話では、日向子(奥山葵)がついに自分主導で動けるチャンスとして、イケメン若手実業家・青城征也(古屋呂敏)へのインタビュー企画を手にします。青城は表向きはアパレルメーカーの社長として華々しい成功を収めつつ、従業員から愛される人格者というイメージが伝わってきます。しかし、村井(夙川アトム)からの別ルート情報では、青城の“貪欲さ”“自信家”という裏の顔が示唆され、日向子の“綺麗な物語”を描こうという動機が揺らぎ始めます。
この間隙で、同期の明日香(黒瀬ひな)から「綺麗な薔薇には棘がある」という警告も飛び、企画そのものが表面的な栄光ではなく、記者としての“切り口”を試される場になっていることが浮かび上がります。
良かったこと
記者・日向子の成長の瞬間がリアル
日向子が青城の過去記事を読み、切り口を考え、同期・先輩から助言を受けながら企画を進める姿が丁寧に描かれていて、記者という仕事の“地味だが本質的な努力”が伝わってきました。特に「常にニュートラルでなくてはいけない」という先輩・山吹(前原滉)の言葉が、華やかなインタビュー企画の裏にある“記者の矜持”を浮かび上がらせていた点が良かったです。
また、日向子がついに取材OKの返事をもらった瞬間の高揚と、そこに潜む「何かがおかしい」というイヤな予感が共存していた描写も、物語に深みを与えていました。
成功イメージに隠された不穏さの提示が巧み
青城という理想的な社長像と、それを覆すような“貪欲で自信家”という噂とのギャップが提示されたことで、「ではどちらが本当か?」という視聴者の興味が自然に高まりました。加えて、北浜(赤ペン瀧川)から「頑張れ」と怪しげな言葉をかけられるシーンが、編集部内部にも“この企画には裏がある”という伏線を効果的に仕込んでいました。こうした“華と影”の対比が、ただのビジネス報道ドラマを超えた緊張感を生み出しています。
気になった・もう少し欲しかった部分
日向子の疑念発生から行動までの心理描写が少し急ぎめ
日向子が「何かがおかしい」と感じる転換点は確かにあったものの、その“疑念”が行動に至るまでの心理変化がやや駆け足に感じられました。例えば、同期・明日香の警告を受けてから、日向子がどのように心の中で揺れ、覚悟を決めたかというプロセスがもう少し丁寧であれば、読者(視聴者)として彼女の選択により共感できたと思います。
青城の裏の顔の動機や背景がまだぼんやりしている
青城の“貪欲”“自信家”という噂が提示されたのは良かったのですが、なぜそのような性格になったのか、あるいは実際に何を仕掛けているのかという動機の深まりがもう少し欲しかったです。「家業の業績悪化を立て直した」という過去があるとはいえ、それが彼の人柄や振る舞いにどう影響しているのか、もう一歩踏み込んでほしかったです。
感想まとめ
第6話は、表向き“光”に満ちたインタビュー企画の背後に潜む“影”を映し出す回でした。日向子が憧れと希望を持って乗り出した企画が、実は“切り口を誤ると食われる舞台”であったことを、静かに、しかし確実に気付かせてくれます。
「綺麗な薔薇には棘がある」という言葉が本当に胸に突き刺さるような展開で、記者としての成長と危険の両立を感じさせる物語になっていたと思います。青城のインタビュー実現という“成功”の裏に、何か大きな企みがあるという予感が、今後の展開への期待を高めました。
今後への期待と考察
今後特に注目したいのは以下です:
– 青城征也という人物の“裏”がどこまで明らかになるか。単なるイメージ破壊ではなく、ビジネス/人間関係/記者との対峙という多面的な構図で深まると面白いです。
– 日向子がこの企画を通じて「記者としてどうあるべきか/何を守るべきか」をどう学んでいくか。彼女の視点の変化こそこのドラマの中心だと思います。
– 編集部・北浜や村井という“企画を仕掛ける側”がなぜこの青城インタビューを選んだのか、その意図がどこにあるのか。裏側の意図を掘ることで、ドラマがより深みを増すと思います。
このドラマは、日常の中で“華やかな成功”だと思われているものの裏にある“人の欲望”“記者の覚悟”“真実を追う危険”を描くものだと思います。第6話は、そのテーマを改めて強く打ち出した回であり、次回も期待が高まる展開でした。
(あいちゃん)

