新東京水上警察 第6話 感想文(ネタバレがあります) ― “ハーフムーン殺人”再び、水上署が追う影と選択

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再び浮かび上がる“半月の呪縛”

第6話では、深夜1時ごろに水死体として発見された大学生・増田健二の猟奇的な頭部損壊事件をきっかけに、再び “ハーフムーン殺人事件” の影が浮かび上がりました。前回の被害者・佐藤守のケースと同じく、頭部が「半月状」に欠けており、犯行日は“半月”の夜。水上署がこの連続性を無視できない状況に追い込まれていくのが緊迫感を呼びました。
また、警視庁捜査一課「篠宮班」から篠宮多江警部(野波麻帆)が派遣されたことで、碇たち水上署メンバーの“同期・元交際相手”という複雑な関係が事件捜査に新たな軋轢を生んでいます。

良かったこと

被害者とアプリという“現代的証拠”の絡み合い

復元された増田のスマホから “Fog talk” という、匿名・流動型犯罪グループで使われる「消えるアプリ」が見つかったという展開が、単なる殺人捜査に“デジタルの闇”を絡ませていたのが良かったです。被害者たちがそのアプリを使っていたという事実が、事件の裏にある“見えない輪”を匂わせ、視聴者の興味を強く引きました。
さらに、工務店勤務の佐藤のタブレットにも同じアプリが見つかるという共通点が、捜査線上の「複数被害者=同一犯」の可能性をリアルに立ち上げていたと思います。

人間関係の緊張がドラマに深みを与えている

碇拓真(佐藤隆太)と篠宮多江警部の“同期かつかつての交際関係”という設定が、捜査チーム内部に単なる業務以上の緊張と“感情の揺れ”を生んでいました。篠宮が“冷徹な捜査官”として振る舞う一方で、碇が捜査に絡む感情を抑えようと葛藤する姿には、刑事ドラマならではの人間臭さがあり、事件の冷たさと調和していました。

気になった・もう少し欲しかった部分

被害者の背景と犯行動機の予兆がもう少し丁寧に欲しい

冒頭から“半月状の損壊”という非常に衝撃的な形式が提示され、そして“消えるアプリ”という手掛かりも出てきたものの、被害者たちがなぜそのアプリを使っていたのか、犯人がなぜその形式を選んだのか、といった動機・背景部分がまだぼんやりしている印象です。視聴者として「なぜ半月なのか」「なぜこのアプリなのか」をもう少し早く掘ってほしいと感じました。

捜査メンバーと篠宮班との連携・摩擦がやや整理不足

篠宮警部の登場によって捜査体制が一変するのですが、水上署メンバー(特に碇&日下部)の反応や内部の心理描写がやや駆け足で描かれていたように思います。捜査と人間ドラマ両方を描こうという意図は感じられるのですが、少しだけ「誰がどこでどう感じているか」が視聴者に迷う瞬間もありました。

感想まとめ

第6話は、冷たい水面に浮かび上がる“連続殺人”という恐怖と、捜査官たちの選択が交錯する回だったと思います。水の上をパトロールするという舞台設定ならではの「流される痕跡」「漂う記憶」という演出が、半月状の犯行形式や消えるメッセージという“無音の証言”と相まって、視覚的にも心理的にも印象に残りました。
碇が“感情的にならない捜査”を意識しながらも、自分の過去や同期との関係性に揺れる姿、篠宮が“感情を殺した捜査官”として攻め立ててくる構図も、ただの事件解決プロットではなく人間ドラマとして機能していたと思います。

今後への期待と考察

次回以降、特に注目したいのは以下のポイントです。

– 「半月状の損壊」という形式が指し示す犯人の”こだわり”や”意味合い”は何か?
– “Fog talk”という匿名アプリを起点に、被害者と犯人を結びつけるもう一つの線は何か?
– 碇と篠宮の過去と現在の関係性が、捜査にどのような影響を及ぼすか?
– 水上署メンバーが「感情で動く人は出世しない」という言葉にどう向き合っていくか?

このドラマは“水上警察”という珍しい舞台を活かしつつ、従来の刑事ドラマとは少し違った“波に揺れる証拠”“消えるメッセージ”というモチーフを通じて、現代社会の“見えない犯罪”を扱っていると感じます。第6話は、そのテーマがぐっと前面に出た挑戦的な回だったと思います。
次回も、冷たい水面の下で何が蠢いているのか、そして捜査官たちの“選ぶ覚悟”に注目しながら観たいと思います。
(あいちゃん)

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